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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
圧倒的に面白い脳の本、模範的な科学,
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レビュー対象商品: 脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書) (単行本)
著者のラマチャンドランは、幻肢痛(事故等で切断した手足が、まだあるかのように感じる現象で、なぜか激痛を伴うことがある)の画期的な治療方法を発見したことでも知られる脳神経学者である。長きにわたり有効な治療方法がみつからなかった幻肢痛を、科学的な推論に基づく簡単な実験で治療したばかりか、同時に、ニューロンの異常な可塑性も発見している。さらには先天的に腕のない人に幻肢が起きた症例も紹介しており、そのメカニズムに関する仮説は、ただ驚くばかりである。そのため、幻肢に関する章だけでも本書を読む価値があるだろう。しかし、本書が素晴らしい理由はさらにある。 まず、なんといっても脳の局所的損傷や疾患によって生じる、極めて特異な症例の数々である。登場する症例は、いずれも特筆に値するが、たとえば、半側空間無視という症状を示す患者は、知性は普通なのに、世界から左側がすっぽり欠落したかのごとく振舞い、メイクも顔半分しかしないし、食事も視野の右側しか食べないなど、とても凄いことになる。この症状を示す患者によって描かれた「半分しかない花の絵」は衝撃的である。 本書には、そのような興味深い症例がいくつも出てくるのだからたまらない。 また、序盤で「科学者であればみな、知的好奇心と健全な懐疑精神が必要だということを知っている」と述べているが、それが口だけではないところも注目に値する。 ラマチャンドランが数々の症例から脳機能について仮説を立て、検証に結びつけていく過程は圧倒的に面白く、知的好奇心を刺激する。しかも、その姿勢は、自身が誤っている可能性に留意しながらも、大胆に謎の解明を試みる、生きた科学の模範的な実例にさえなっているのだ。 さらにいえば、単なる読み物としても圧倒的に面白いため、本書は、私にとって『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン著)と並ぶ至高の一冊なのである。
26 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
笑って学べる脳科学,
By マクシ (東京都中野区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書) (単行本)
幻肢や相貌失認のような特殊な症例をもとに人間の主観的体験と脳の情報処理の仕組みとの関連をわかりやすく説明する良書です。読みやすいのでとくに神経系についての予備知識も必要としません(私もそんなものありませんでしたし……)。個々の症状とそのメカニズム自体が大変興味深いものですが、なんといっても本書の魅力は著者のユーモアあふれる文章です!「会議の時に網膜の盲点を使って学部長の頭を消して遊んでた」のようなおもわず噴出さずにはいられないエピソードがいたるところに散りばめられており、本を読んでる、というよりも、まるで講演を聴いているかのような気分になってしまいます。面白おかしく読めてかつ知識も深まるのだから、こんなにお得な本もあまりないでしょう。
25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自分とは何か,
By 赤々丸 (秋田県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書) (単行本)
この本を読み終えて思ったことは、科学を突き詰めると最後は「自分=存在」という哲学的な難題に迷い込まずにはいられないのだな、ということでした。著者は、「自分(意識)」という人間にとって最も基本的な前提さえ、脳という物質の制限の中で展開する一連の様式の一局面に過ぎないのだということを、いろいろな実例を交えて語っています。そして、過程の一部に瑕疵が生ずれば自分(意識)というものはもろくも崩壊してしまう。 著者は、もろくも崩壊しうる自分(意識)とは決して特別のものではない、宇宙という全体の一部なのだ、それを知ることによりかえって安心が生じるのだという趣旨の事を云っています。正直をいって僕は著者のように達観はできませんが、自分というものについて考える上で、この一冊はとても良い本だと思いました。 ただ、最終章の「クオリア」についての記述は僕にはちょっと難解でした。
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