インド人の神経科学者で「幻肢」(=事故などで失った腕や足が存在するような気がして、それが痛むこと。)の研究で有名な著者のベストセラー文庫化。養老孟司さんの名著「唯脳論」と同様に、脳がいかに現実をつくりだすか、「自己」や「私」がいかに造られているものかを論じています。
すばらしいのは数々の症例。思弁的な言いっぱなしではなく、具体的な症例から親切丁寧に脳の仕組みをときほぐしてくれます。ちょっと詳しすぎて素人にはついていけない場面もないわけではないですが、高校生物のレベルで十分対応可能。しかも語り口がおもしろい。
われわれにとっての「世界」が現実と脳との相互関係で出来上がっている、しかも常に更新され続けていることが、けがや病気の人たちという特殊な例からわかる。すばらしい本。高校生から大学生は必読でしょ。