本書の中でRamachandran教授はまず、手や足を切断した人が、消失した手や足の部分をまだあるかのように感じる「幻肢」や、2つの感覚が入り混じる(特定の音程の音を聴くと、特定の色をイメージするというような)「共感覚」などの興味深い事例について、神経回路の観点から分析。さらには、「神経疾患を持つ患者の研究は、臨床神経学の範囲をはるかに超えて、人文学や哲学にとっても、ひょっとすると美学や芸術にとっても意味がある」と、議論を進めていく。
とりわけ興味深いのは、チベット美術、古代ギリシャ美術、ルネサンス美術など数々の芸術様式に見られる普遍性を、脳の働きと関連づけて解く、第3章「アートフルな脳」。Ramachandran教授は、芸術に見られるばらつきの9割は文化多様性から、残りの1割は「あらゆる脳に共通の普遍的法則からきている」として、具体例を挙げて、それを検証していく。
10代の時に書いた論文が科学誌「nature」に掲載されたという“天才”だけあって、その洞察力と論理展開は極めて秀逸。ぜひ一読されたい。
(日経バイオビジネス 2005/10/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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