禅、ヨガ、気功といった東洋の伝統が脳にどのような影響を与えるかについては、この本の共著者有田氏も含め、これまで多くの科学者が研究してきています。この本も基本的にその系譜の上に立っているわけですが、科学者の語彙と論理に固まった論文的な難解書ではなく、非常に読みやすい内容になっています。
自分の専門分野である脳内伝達物資セロトニンに何でも説明させようとする有田氏に対し、「気」の存在を認め、非常に広い視野から驚く程深く広いの科学的知識を駆使して対応する玄侑氏、このパターンでなんと11時間も対談をしたというから驚きです。2人の対話を読むと、今飛ぶ鳥を落とす勢いの脳科学が実はまだ殆ど何も解明できていないことが見えてきます。一方、解明することでなく、実践することを目的にしてきた禅は、すぐに役立ちそうな経験論的処世術を数多く持っているように感じました。
それにしても、僧侶・作家である玄侑氏の脳科学、心理学についての知識には感服しました。