脳と創造性はどのような関係にあるのか。創造性とはそもそも何か――。
このような問いは、現代においてきわめて重要であるにもかかわらず、誰も正面切って論じようとはしなかった。創造性を天才の神秘のインスピレーションと見做したり、脳をコンピュータのアナロジーで考えるなど、様々な固定観念が立ちはだかっていたからかもしれない。
創造性の脱神話化、論理と直観、不確実性と感情、コミュニケーションと他者、感情のエコロジー、クオリアと文脈、一回性とセレンディピティ、個別と普遍。
以上のような切り口から、著者は、脳を単なる閉鎖系として扱うことなく、ダイナミックで予測不能なカオスとしての「生の現場」に切り込み、脳と創造性の秘密を探っていく。この世界で生命、人間、そして脳が創造性を発揮することの根っこに迫る。
養老孟司氏推薦! クオリア問題をライフワークとする著者の新境地。
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・創造性は、全ての人に与えられている。
・生命は、その本質が論理的・意識的統御の不可能性にあるため、コンピュータと全く異なる。生命に支えられた創造性は、決して予定調和の中に納まらない。結果を気にせず、まず生命を躍動させて創造行為を行うべし。
・直感は、不確定な事態に対する最も適切な対処法。
・人間が不確実性と向かい合う際には、好奇心、悦び、心理的な安全基地、そして時には蛮勇を必要とする。
・創造のプロセスにおいて他者とのコミュニケーションは不可欠。
・人は、「ふり」をすることで新たな自己をも創造し、それはときに普遍に達する。
・脳の中の図式と世界の中の現実との間に生じる「ずれ」を通し、自らの中にある偶有性図式が修正される。
・世界の中に隠れた偶有性を模索することで初めて生み出されるものはぎこちない。
・人が体験する様々なものの質は、ユニークなクオリアで決まる。ユニークかつ私秘的なクオリアに寄り添い、それを引き受け愛することで、公共的な創造が生まれる。
・体験は、一回しか起こらなくても、重要であれば脳内で文脈を形成し「私」を変化させる。
抽象的な言葉が多く一見難解ですが、あらゆる分野の知見を動因した説明により、鼻血が出るほどexcitingな本となっています。著者の教養と真摯さは、凄過ぎます。こういう人を真の哲学者と言うのでしょう。
褒めすぎと思われるかもしれませんが、それは私がマキャベリ的知性から離れてこの本を「愛して」しまったからかもしれません。
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