オーディオブックなどを利用して耳から情報・知識を入れていく勉強法について論じた一冊ですが、著者自身が生業(なりわい)としているオーディオブックの宣伝臭がどうしてもきつい気がして、どれほどの効果が果たしてあるものかと、眉に唾しながら読む読者も多いのではないでしょうか。損な造りの本だと思います。
ただし、実は私はこの本に書かれているような耳勉強法を20年近く続けて外国語を身につけた口なのです。著者がここで解説している脳の学習システムだとか音韻表象だのという小難しい仕組みについては一切知識がないものの、著者が指摘するように、人間の普段の生活には聴力を特段使っていない「すきま時間」が大量にあり、私の場合はただ単に、自宅から駅まで歩いて20分もかかるという(この距離のバス代は勤務先が出してくれません)現実を前に、往復で1時間近い徒歩の間は英語やスペイン語の録音素材をひたすら聞き続ける生活を続けてきたのです。
私の「すき間時間」は他にも歯磨きタイムや皿洗い、掃除や洗濯物を干す時間など無数にあり、そんなときにMP3プレイヤーはフル活動します。
その結果、留学経験もないままTOEIC940点の英語力とスペイン語検定3級の力を身につけることができました。
ですから耳勉強法自体に誤りはないということが経験則から言えるのですが、なにも高いオーディオブックを購入する必要はないでしょう。今やNHKラジオの語学講座とNHK国際放送の番組(どちらもインターネットで聴けます)、NHK・BS1の海外ニュース、NHK・BS2の海外ドラマ、といったすぐれた音声教材がやまほど安価に入手できるようになりました。私はそうした素材を活用して耳勉強法を続けてきましたので、本書のようにオーディオブックをことさら推奨するような気持ちは持ち合わせていません。