著者の主張は明快で、以下の3点に集約されている。
・住宅バブルは過度の金融緩和よって起こったものであり、
・今回の金融危機は対策を誤ったために長引き、
・リーマンショックはリーマンの破綻それ自体より、政府の方針が不明確だったことが原因。
市場にショック拡大のメカニズムが内在するなどとは考えず、すべて政府の失敗だと言い切るところはミルトン・フリードマンを髣髴とさせる。
もちろん今回の金融危機に関して、そのような主張には賛同できない向きも多いだろう。
たとえば、テイラールールに従ってデフレに陥っていても良かったのか?FRBの流動性供給にも一定の効果はあったのではないか?等、反論はいくらでも考えられよう(説得的な証拠を挙げられるかどうかはともかく)。
だが彼は根拠となるデータを示し、そのデータを素直に解釈することで上の主張を説得的に論じているため、本書は議論の参照点となるに違いない。「ウォール街の強欲が金融危機を引き起こした」というようなジャーナリスティックな考えを解きほぐしてくれる良い本である。