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脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本
 
 

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本 [単行本]

安達 誠司
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

明治維新から第二次世界大戦まで、経済・外交における失政の連続により戦争への道に追い込まれ、国家の崩壊を招いた日本の軌跡を綿密に分析、「平成大停滞」以後に向けた日本の針路を鮮やかに呈示する野心作!第1回「河上肇賞」受賞作品。

内容(「MARC」データベースより)

明治維新から第二次世界大戦まで、経済・外交における失政の連続により戦争への道に追い込まれ、国家の崩壊を招いた日本の軌跡を綿密に分析。「平成大停滞」以後に向けた日本の針路を鮮やかに呈示する。

登録情報

  • 単行本: 317ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2006/05)
  • ISBN-10: 4894345161
  • ISBN-13: 978-4894345164
  • 発売日: 2006/05
  • 商品の寸法: 19 x 12.6 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 幕末以来の日本の経済政策を「政策レジーム」という視点から分析する。著者は、歴史分析の意義について、現代のマクロ経済学は、情報処理能力の飛躍的な発達により、ミクロ的基礎を有するマクロ経済モデルによる政策シミュレーションが可能になったが、政策の採用プロセスには、政治プロセスや政策思想など数値化されない要素が働くことや、経済主体の期待形成プロセスには、過去における「経験知」や思想、哲学などが反映されているはずであり、歴史的な実証分析は、必ずしもその重要性を失ってはいないと述べる。実際、本書に取り上げられた時代の動きは、容易に、現代にも重ね合わせてみることが可能である。しかも、現代の経済論議の中で、このような過去の「経験知」が、いかに顧みられることなく進んでいるかということを強く認識することになるだろう。

 松方財政の成功は、決して、いわゆる「創造的破壊」によってもたらされたものではなく、井上財政の失敗は、正に、その誤りを示す実例となっている。「創造的破壊」論の誤りという事実は、日本の雇用システムを「破壊」することが新たな雇用を生み出す、といった一部にみられる動きに対する批判にも成り得るものである。一方、高橋財政におけるリフレ過程では、再配分政策に消極的な姿勢をとったため、結果的に景気回復の恩恵を受けることの出来ない層を生じさせ、このことが「大東亜共栄圏レジーム」の台頭を招くこととなる。このような事実の一つ一つを虚心坦懐に検討することは、昨今の格差論議において有益な答えを導く上でも重要なことといえるのではないか。
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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
1冊の本で数々の知的刺激を受けます。特に、太平洋戦争直前の日本史に興味のある人にはお勧めです。数々の刺激のうち、個人的に興味深かったのを取り上げると

刺激1:一般的に松方正義の行った、いわゆる「松方デフレ」は成功例として語られますが、むしろ、やらないほうがよかった、彼の功績は別のところにあることがわかります。

刺激2:左右を問わず大正期には「日本資本主義の行き詰まり論」が叫ばれ、その1つの解決として、中国への侵略が正当化されたわけだが、実態として、全く行き詰まってなどいなかったということ。

当時「余剰人口」を抱えているということが前提であり、そのための満州への領土拡大が正当化されたわけだが、そのときの「余剰」といわれた人口とはたかだか6000千万人にすぎなかったこと。これは逆にいえば、1億2千万人もいて、人口減少で大騒ぎしている現在が果たして、正しい認識に基づくものかを疑わせるのに十分な前例といえる。

刺激3:満州から華北への拡大政策をすすめた当時の日本は、国民党政府とそのバックの英米に対して、いわば円経済圏を築かんと、経済戦争をしかけたが、それだけの資本力がなく、その時点で「経済戦争」で敗北していたこと。いわば、その後の太平洋戦争すら、おまけに過ぎないともいえること。(なにかと話題になる石原完爾がこれを認めていることがおもしろい。)

全体を通して、日本という国は「通貨制度」というものにまったく無理解であり、その失敗が太平洋戦争の破滅へと突き進むことになったということです。

 最後に、今の日本はどうなのかということが問われています。その答えが「近世すら超克していない」というのは、いまだに金融=虚業という新井白石以来の考えにとらわれている現代日本人への警鐘でもあります。
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 遊鬱 VINE™ メンバー
形式:単行本
「昭和恐慌の研究」なる名著で現代日本のデフレ状況について金解禁、高橋積極財政を元にリフレ政策の有効性を説いたのに対して、当書は同じ問題意識に立ちながら単に経済学の射程を超えて史観の域に達している。

物差しは、3つの「政策レジーム」を随時比較参照しながら、維新から大東亜戦争開戦に至るまでを通時分析というものだが「外交」、そしてこの作品の肝たる「通貨」というファクターを加えており、その切れ味たるや歴史の通説としてきたものを真っ向から挑戦することに成功している。

具体的には美化されがちな明治維新が江戸幕府の延長線上に過ぎない(少なくともその当初は)こと、財政再建に成功した松方財政は単に銀本位のもとでの銀価格の下落という僥倖による部分が大きいこと、そしてデフレから脱却させた高橋是清がどうして暗殺されなければならなかったのかその萌芽は既に政友会と民政党のそれこそ、これまで高く評価されてきた浜口や犬養らの政権闘争に由来するなどとと喝破している。

どうして経済学的知見が大衆に受け入れられなかったのか、それはいまだに清算主義が根強く支持される(小泉の自画自賛ぶりをごろうじよ!)中で読者が考えるべき現代の課題であろうと強く示唆しています。
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