原田氏の著書は継続的に読んでいるが、いずれの著書でも、今の時代の大きな流れ(森)をとらえつつ、その流れを動かしている(その中で”動かされている”、ではない)ここの要素(木)を適切に取り上げているように感じられる。原田氏は外交官の出身というが、それにもかかわらずというか、それゆえにというか、取り上げている要素は幅広い分野から拾われている。昨年の秋からレアアースの”事件”が取りざたされてきたが(果たして、世間ではもう終息したと思われているのだろうか?)その背後にある”トリウム”について焦点を短く当てているのには感服する。多くの場合、レアアースならレアアース、トリウムならトリウム、さらに中東情勢なら中東情勢、米国デフォルトならそれ、というように、ひとつの切り口でのみ見られているが、原田氏のこの数年のいくつかの著書は−むろん、本著も含めて−全体の流れを的確に捉えつつ、その底流にどのような流れをコントロールする石が(意思が)横たわっているかを冷徹に見つめているように思われる。むろん、サイエンティフィックには(著者も断っているように)もう一段、掘り下げるべき点もあるかとは思うが、それが全体の論調を乱しているとは必ずしも思わない。今、時代はドラスティックに変わっている。変化の速さに追随できないことがあったとしても、その大局を把握して、そこから局所の事象を掘り下げてもよいと思うし、それはまた、個々の読者の役割であるとも思う。この森はどこに向かってのびているのだろうか。