脳科学者・茂木健一郎氏の本で著者の名を知り、興味を覚えた。
「人間の胎児は、母の胎内で、数億年の進化の歴史を追体験する」…という有名な話の、つまりこの人が“元祖”的存在らしい。なのですが…この本は「新しい科学的知識を得たい!」というようなニーズには、多分、全然、適していません。
四半世紀も前に書かれた本なので情報や学説が古いのは仕方ない。が、そもそも当時のスタンダードな学説に依拠した内容かどうかさえ怪しい。というより、これは「科学書」ではないのではないか。SFというか、「サイエンス・ロマン」とでもいうべきジャンル(が存在するのか、よく分かりませんが…)の本ではないか。
この本で著者が繰り返し述べていること。それは…
「我々の生命は、この地球上で数十億年前に生まれた最初の生命から、途切れることなく続いてきたものだ。その間、地形や気候の大変動など、絶滅に瀕する危機と度々戦いながら受け継がれてきたのだ」…という、つまり「生命の神秘」「生命の尊厳」というメッセージを、様々な事例を持ち出し、さまざまな角度、次元から、力強く訴えている。
(若き日の)脳科学のスーパースターに強烈なインパクトを与えたのは、この「強い思い」と「伝えようとする力」だったのだろう。「科学知識」ではなく、彼のメッセージを受け止めよう…そんな思いで読むべき本だと思います。