著者があの高橋悦二郎先生ということで、初めての出産に備えて
手に取りました。タイトルは胎児からのメッセージとなっていますが、
胎児期についてはページ数の半分ぐらい、あとは乳児期についてです。
赤ちゃんの心身のしくみが丁寧に解説されていて、医学的な根拠に
もとづいて理想的な出産や育児のありかたを考えさせてくれる本です。
強調されているのは母子のコミュニケーション(語りかけ、母乳育児、
添い寝、抱っこ、おんぶなど)の大切さで、さまざまな実例を挙げて
説明されているので、既に知っていることでも改めてそうかと納得できます。
ほかに印象に残ったのは、赤ちゃんは自分で誕生の日を決めるということ、
生まれる時の酸欠に強いということ、立ち産か座り産が自然な分娩スタイル
ということなど。離乳やおむつ外しについては赤ちゃんの意志を尊重して
急がず進めることとされています。最近流行のEC (おむつなし育児)に
ついても、東南アジアで見たエピソードとしてさらりと触れられています。
この本でユニークなのは人間以外の動物、サルやキリンや鳥の例も
比較に出していることで、動物の親子の写真もたくさん挿入されています。
人間も自然の一部であることを忘れずに、ということでしょうか。
冷静な語り口の中にも先生の暖かい人柄がにじみ出ているようです。
初版は1984年ということで、若干古さを感じる点もなくはありませんが、
むしろ今の日本の母親や産院の意識が足りない所の方が多いと
思います。全体として非常にバランスの取れた良い本です。