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背徳のメス (角川文庫―リバイバルコレクションエンタテインメントベスト20)
 
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背徳のメス (角川文庫―リバイバルコレクションエンタテインメントベスト20) [文庫]

黒岩 重吾
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第44回(昭和35年度下半期) 直木賞受賞

出版社/著者からの内容紹介

夜の非人間的な女誑しと昼間の正義の医師。大阪を舞台に、デカダンス、ニヒリズム、無気力、情欲、犯罪が百鬼夜行する異常空間を描いたハードボイルド的長編推理小説。第四十四回直木賞受賞作品。

登録情報

  • 文庫: 281ページ
  • 出版社: 角川書店; 改版 (1997/01)
  • ISBN-10: 404126801X
  • ISBN-13: 978-4041268018
  • 発売日: 1997/01
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 541,248位 (本のベストセラーを見る)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
女性関係で放蕩な生活をつづける産婦人科医師 植秀人は、上司の医療ミスを告発しているさなか、命の危険にさらされる。犯人は、そしてその動機とは ・・・

やくざや売春婦が患者の大半をしめる総合病院。患者、医師らの姿が、重苦しくはあるがいきいきと描かれている。犯人探しそのものよりも、彼らそれぞれの過去や憎悪が明らかにされていく過程が面白かった。ラストで、植がたとりつく人間の愛の執着は、全編をとおしての人々の行動によって、なまなましい説得力をもってくる。このリアルさは、作者の波乱の多い人生が、文脈に反映されているからなのだろう。

特に期待していたわけではなかったので、予想外に面白かった。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書もやはり1960年代の主題である戦争を背景にした物語であることは特筆されてよい。確かにハードボイルド的な描写と権威主義的な病院に対する闘争というあまりにもステレオタイプな「社会派」の側面はこの際無視してもよかろう。問題は社会派なるものを基礎づける要因を本書も確実にもっているということなのだ。「愛」をめぐる悲劇と片付けられそうな本書も、実はそれが戦争という時代によって「愛」なるものの存在を享受できなかったがゆえに、その歪みが犯罪として生じていることを描くのである。というよりも信ずベきものをもちえなかったことに対する悲劇というべきか。天皇制でもなく大東亜の共栄でもなく、そして「愛」すらありえなかったという側面。偽装された信念の対象をどこに見出すべきなのか、という戦争批判すらここには内包されており、かなりの射程を持った作品である。しかしミステリ的にはさほど大したものではなく、一応Whodunitを効かしているがおまけ程度であり、やはり犯罪にいたる犯人と国家の問題、そして売春婦を生産する国家への刃が秘められている。世評とどの程度かみ合っているのかわからないが、本作は確かに評価さるべきである。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
満州戦争後の話を筆者が昭和30年代に著した作品が、最近復刻版として再販されることになった。直木賞作品の名に劣らぬ名作ですので安心して読んでください。

主人公の医師、植は場末のしがない産婦人科に勤める医師で看護婦にかたっぱしから手をつけるプレイボーイ。将来のキャリアは無いに等しく院内からも軽蔑されはすれ尊敬はされていない。その男が、ある日、権威主義の科長の医療ミスを発見し病院側の懐柔策にも屈せないでいるとある時殺されかけることに。そこから彼は自分を殺そうとした犯人を見つけようとする。

解説で評論家の末國善己が面白いことを書いていた。作品の時代状況(1960年代と末國は言っているが、実際はもっと前)が現代とよく似ていると。自分は黒岩 重吾の社会派小説、特に大阪が舞台になっているのが好き(西成天王山ホテル等)でなんとなく共感できるのも今の時代と似ているからかも。この作品が再版されたのも、ちょっとまえに蟹工船がはやったのも今の時代の未来に希望を持てない鬱とした空気がそうさせるのかも知れない。
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