上下巻を読み終えて…その内容の重さに圧倒されて言葉を失ってしまいました。彰の壮絶とも言える愛情に、涙が止まらなくて…。倫理観とは一体何なんでしょうか?彼等を裁けるのはどういう存在なのでしょう? ここまで心身をボロボロにしなければ得られなかった彰の愛。その純粋さ、一途さは正に壮絶の一語に尽きます。そして、自己の精神を崩壊させて初めて本当に得ることが出来た心の安寧。ここまで求め続けた愛情の健気さに、圧倒されるばかりです。彰が哀れで、可哀相で、でも彼は常に凛々しく美しいです。 圭介は…彼も決して悪くはないのです。ただ、鈍感と言うものは、時には罪であるのかも知れない、とつくづく感じさせられました。彼がもし普通の倫理観にとらわれることのない人間であれば、もっと早くに自分自身の本当の気持ちにも気付けたのかも知れません。それならば彰もあそこまでは傷付くことがなかったのかも…。しかし、全ては今更なのでしょうね。ここまで来なければ彼等の想いは重なることが出来なかった、と言うことが運命と言うべきものだったのでしょうか。己の精神を崩壊させてやっと初めて心からの安寧を得て、偽りの鎧であった体を脱ぎ捨て、今、彰は正に透明感すら湛えた常人を超えた存在のように見えます。さながら無垢な天使かマリアの如く…。見事な生き様としか言う言葉が見つからない。 安藤は凄い!確かに口も悪く態度も粗野かも知れませんが、彼の愛情は深く大きい。己の欲望は消してたった一人の人間の生き様を終生見続けて行こうなんて!…懐の深い魅力的な人間だと思います。何故女性たちは人間の本質ってものを見抜けないのでしょうね? 私は正直、まさかBL作品でこのような作品に出逢えるとは思ってもいませんでした。この作品は既にBL作品の域を超えています。久々に圧倒される作品に出逢えて感動でした。綺月作品の多分最高峰となるのではないでしょうか。