フランス革命で家族を失った18歳のヘレーネは、ロンドンへ向かう乗り合い馬車の中で魅力的な青年フィリップと出会う。
彼は男爵家の次男で、亡くなった兄の婚約者と結婚して家督を継ぐために、インドから呼び戻されたところだった。
情熱的な一夜をともにし、互いに強い愛と運命を感じる、ヘレーネとフィリップ。
しかし、暗い過去を背負う自分と、身分の違うフィリップとの間にしあわせな未来があると思えないヘレーネは、彼の求婚を拒絶する。
傷心のフィリップは、両親の命ずるまま兄の身代わりとして結婚し、ヘレーネは彼の結婚後に子どもを身ごもっていることに気づく。
18年後。高級会員制クラブ<悦びの館>の経営者として成功したヘレーネの前に、突然フィリップが現れる。
17年間の不幸な結婚生活は、彼を別人のように変えていた…。
マダム・ヘレーネの≪悦びの館≫シリーズ第3弾。
今回は<悦びの館>の女主人マダム・ヘレーネ本人が主人公です。
18年前も、いまも、強く惹かれあうヘレーネとフィリップ。
2人の気持ちのせめぎあいと、それぞれの家族にまつわる葛藤、そして不幸な結婚生活によって失われた、
自らのセクシャリティを取り戻そうとするフィリップの試みが、この作品では描かれています。
同時に、これまで謎とされていたヘレーネの過去や<悦びの館>創設秘話もこの作品で語られます。
今作を読む前は「今度は普通のロマンスだから、男×男はないよね…?」と思っていたのですが…。
このシリーズに「普通のロマンス」なんてないのでした。まして、マダム・ヘレーネの恋人が「普通」なわけ、ないですね。
しかし、フィリップは気品のある紳士で、肉体的にも精神的にも成熟した大人。
前2作『背徳のレッスン』『背徳のエンジェル』の登場人物たちのように過剰な性欲を持て余しているわけでも、
尋常でない性的指向をもっているわけでも、性格が歪んでいるわけでもないので、(前2作にくらべれば)官能シーンも安心して読めます。
やおい好き、BL好き、おやじ好きの方にはおすすめ。
描写は『背徳のエンジェル』の方がずっと多い上に過激ですが、『背徳のパラダイス』の方が内容が控えめで節度がある分、逆に色っぽいです。
30代後半のフィリップと、30代前半の海軍将校デイヴィッド・グレー大佐の関係は、そちらが好きな方にはたまらないかと思います。
(個人的には、ヘレーネとフィリップの関係よりときめきます。いえ、前2作も含めた、どのカップルよりも)
また、「≪悦びの館≫シリーズに興味はあるけど、大丈夫かな…?」という方は、この作品から試してみるといいかも。
シリーズの中では1番ノーマルで描写も控えめ(基本1対1だし、SMもない)、官能ロマンスの範疇に収まる作品だと思います。
ただ、「純粋なロマンスが好き」という方が楽しめるかどうかは微妙です。
≪悦びの館≫シリーズ第4弾は、『背徳のレッスン』のヴァレンティンの異母弟、アンソニーが主人公。
『背徳のレッスン』で事件に巻き込まれ、拉致監禁暴行されて以来、男性を相手に被虐行為に走るようになったアンソニーの運命は…?
こちらは、アンソニーの美貌の兄ヴァレンティン、サディストで男好きのミンショム卿が絡んだ波乱のストーリーになるようです。