『魔の退屈』は安吾の自伝的小説の一つですが、これが中々いいです。
戦争を題材とした小説や随想の中では最も読み易くまとまっていると思います。
『私は海をだきしめていたい』には筋書きらしい筋書きがありませんが、
点在するアフォリズムが中々よろしいです。
「肉慾すらも孤独でありうることを見出した私は、もうこれからは、
幸福を探す必要はなかった。私は甘んじて、不幸を探しもとめればよかった。」
という一節に惚れました。
『ジロリの女』はいかにも安吾さんらしい痴情小説でした。
『行雲流水』はほんのり痴情くさい小話でした。
『肝臓先生』は、「そういうお医者様がいたんだね〜」くらいの感覚で読み流しました。
全体的に、ファン以外の方向けのキャッチーなお話は無いです。
『白痴』『青鬼の褌を洗う女』あたりが気に入った方は手を出しても大丈夫かもしれません。