近年の疾患概念の変化や診断技術の進歩に合ったup to date な内容であることに加えて、中上級者向けな内容も豊富に収載されています。『肝の画像診断』(医学書院、1995)以来の、中上級者向け新・定番教科書として最もお薦めできる和書の登場です。
520ページの大ボリュームのうち約半分を肝疾患に費やしており、従来の教科書ではさらりと流されていたような細かい副所見や、新しい疾患概念も1章ずつ使って、成因や画像所見、鑑別のポイントなどが、丁寧に解説されています。
具体的には、肝内shuntのパターンやそれがEOB肝細胞相で染まり抜けることがあること、low grade/high grade dysplastic noduleから(early HCC)、高分化型HCC,、classical HCCに至るスペクトラムや、比較的稀な腫瘍(EHE、偽リンパ腫、SANT、etc...)などなど、これまで原著英語論文をあたらないと調べにくかった内容が盛りだくさんで素晴らしい限りです。
最後に、個人的に気になった箇所を挙げます。
p253 Wilson病の章: Wilson病に伴う肝硬変は、他の原因による肝硬変と区別困難との記述がありますが、EJR 2007:61:25-32 にもあるように、Wilson病の肝硬変では尾状葉が肥大しにくい傾向があり、またHCCの合併も稀とされています。小児で尾状葉肥大の目立たない肝硬変を見た場合には、Wilson病の可能性を考えると報告されています。
その他誤字など
p391 図1 caption: 肝表出傍に見られる→肝辺縁に見られる
p474 1章上から4行目: 脾は膵門部を除くと→脾は脾門部を除くと
p504 下から5行目: 血管腫瘍結節→血管腫様結節