消防署に対する大規模な(対象者1,000名超)調査を踏まえて、仕事における使命感と組織的不祥事の関係について解説しています。
仕事における使命感を、職務的自尊心(仕事に対する誇り、効力感など)と職能的自尊心(仕事に要する技能習得の重要性など)、天職感に区分し、それらと不祥事(個人レベル、組織レベル)との相関を、組織の規模、職位、職種に分けて調査しています。
また本シリーズの「属人思考の心理学」での調査結果と併せて、不祥事との関係を分析・解説しています。
結論としては、職務的自尊心が高いほど、また属人思考が低いほど、組織的不祥事は起きにくい、といったものであり、組織における人のあり方に精通している人であれば、直感的に頷けるものではありますが、これを社会心理学の知見を活かして調査により導き出したことが、価値だと思います。
本書を含めたこのシリーズは、もともと組織の不祥事についての研究でしたので、組織がより上手く成果を生み出し続ける要因は何か、についてはほとんど触れられていません。
従って、組織の不祥事を減らしつつ、成果を生み出し続けるためにはどうすべきか、またどうバランスを取ればよいのか、もし不祥事を引き起こす要因が同時に成果を生み出す要因であるということはあるのか、といった問いに答えるものではありません。
しかし、組織の負の部分をマネジメントすることが日に日に重要になっていますので、本書の知見だけでも取り込むことに意義はあると思います。