イキイキ感情等の四分類による「組織感情」の分析はわかりやすいし、「恐れ」や「不安」などの一見マイナスと思える感情も組織において必要である、という主張にも一定の説得力がある。
ただし後半の組織感情を変えていくための試みについては、この本の主張を生かすには「サラリーマン性善説」ともいえる前提が必要だと感じた。
典型的なのはミスやトラブルも、相手をよく知ることで、背景の事情がわかり、受け止め方が変わる、というもの。本書が言うように社員同士の間に能力や意図に対する信頼があれば「普段はあんなミスをしない人なのに」「きっと何か事情があったのでは」ということもあるかもしれないが、実際には知れば知るほど信頼が失われる、というのが大方の「冷え冷え職場」「イライラ職場」ではないかと思う。同じ組織に属するものとしての信頼感をベースにと言うが、まず人間としての信頼感から醸成しなくてはならないところに困難がある。
強力なリーダーシップの元、採用される人の水準が確保されている職場や、その会社の個性に惚れて入社する社員が多い職場など、もともとの素質のある組織では本書のような「性善説」も成り立とうが、おそらくそういう組織においては、なじめない人間が自ら去ることでモチベーションを維持している、という側面もあるのではないか。
いろいろ思うところはあるが、本書の言うところの「まず隗よりはじめよ」という心意気、これは大事なので星三つ。