<特集概要>
―雪舟と室町水墨画―
雪舟の中華文化への憧憬と受容
聚美第2号は雪舟と室町水墨画の特集です。
巻頭第一論文は島尾新(しまお あらた)氏による「室町水墨画の表現」と題して
室町水墨画の表現上の特質について論じています。
序章では水墨―墨と筆による表現―の文脈から、
その時代のことばでいえば「唐絵(からえ)」のことで、文字どおりには中国の絵画だが、
室町時代には日本で描かれた中国風の絵画もそう呼ばれたことを説明。
そして本論では、「唐絵」とはいえ、中国のものと日本のものとが同位置の価値体系に属していたものではないこと。
さらに扱う時代は大きく二つに分けられ、
南北朝の合一に始まって次の節目は応仁・文明の乱を境に前期と後期に分けて論じる。
第二論文は、畑靖紀(はた やすのり)氏による画聖雪舟の実像にせまる論述。
雪舟が人生の節目でどのような選択をし、その結果どのような心境に到ったのかを
彼がしばしば活躍地を移したことに注目し論ずる。
各地で異なる考え方をもつ人々と接し、それぞれの価値観を相対化してきた経緯の中で、
彼がどのような選択をし、
絵画表現や画家人生を切り開いていったのかを考察する。
第三の論文は荏開津通彦(えがいつ みちひこ)氏による「雪舟は近世の道を拓いたか」。
「雪舟」と「近世」との関係を、江戸時代初期の画家たちと雪舟との関わり、殊に狩野探幽を通して
彼が雪舟学習から狩野派の風を一変し、自らの画風を形成したとの評価が的はずれでないことを論じる。
加えて、徳川幕府お抱えの儒者である林等山(はやしらざん)が
寛永文化を代表する人物の一人である松花堂昭乗と狩野探幽とが花鳥図巻を合作した折、
当時の諸文人の賛詩文などとともに、羅山の跋文が収載され、
そこで探幽が周文と雪舟の画風に学んだことを説明する。
最後に、狩野探幽と狩野山雪という江戸初期の画家たつと雪舟の関わりについて論じる。
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