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聖母マリア崇拝の謎---「見えない宗教」の人類学 (河出ブックス)
 
 

聖母マリア崇拝の謎---「見えない宗教」の人類学 (河出ブックス) [単行本(ソフトカバー)]

山形 孝夫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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聖母マリア崇拝の謎---「見えない宗教」の人類学 (河出ブックス) + 黒い聖母と悪魔の謎 (講談社学術文庫)
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商品の説明

内容紹介

禁じられても広がり続けてきた聖母マリアへの深い崇敬。現在もマリアは「出現」し、全世界で奇跡を起こしている。マリア現象とは何か? キリスト教のはらむ矛盾を明らかにしながら、今後を読み解く画期的な論考。

内容(「BOOK」データベースより)

人類の歴史をとおして、おそらく聖母マリアほどに、あらゆる時代を超え、民族を超え、人びとの心をとらえた母なるものは存在しない。キリスト教の起源にさかのぼる「神の母」論争、古代ケルト以来、西欧社会の古層に黒いマリアとして封印され、マグダラのマリアとして押し込められ、カオスのように広がりつづけてきた「見えない宗教」としてのマリア崇拝。二つの視点から「謎」の解明に迫る。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 238ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2010/4/10)
  • ISBN-10: 4309624162
  • ISBN-13: 978-4309624167
  • 発売日: 2010/4/10
  • 商品の寸法: 18.2 x 13 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 34,901位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:単行本(ソフトカバー)
 マリアとは何か? これはイエスとは何かという問いから派生する問題だ。
 イエスの父は「神」。イエスは「神の子」であるから「神」。ゆえに、イエスは「神」にして「人」。
 では「神の子」イエスの「母」は、「人」に過ぎないのか、それとも「神の子」の「母」は「神」か???・・・ああ、まったく混乱してくる。

 こうしたキリスト教内部の神学論争が、古代以来えんえんと続いてきたのだが、一般民衆は神学とは関係なくイエスとマリアは切り離せない存在とみなしてきた。神であろうとなかろうと、マリアさまを崇拝するのは自然なことではないか、と。
 こうした一般民衆の心性の底には、キリスト教普及以前に存在した多神教世界の残存がある。キリスト教が発生した古代地中海世界では、古代ユダヤ教が徹底的に排除し殲滅させたバアール神信仰、エジプトのイシス信仰といった大地母神が残存してきた。ヨーロッパでは古代ケルト世界の地に集中的に出現した母子像である「黒いマリア」の存在がそれを濃厚に示している。一神教のユダヤ教やキリスト教が徹底的に抑圧してきた、大地母神に代表される多神教的要素は、一般民衆の心性の奥底で無意識の領域では生き抜いてきたのである。
 そして近年目立ってさかんになっているマグダラのマリアへの大いなる関心は、『マグダラのマリアによる福音書』という新約聖書偽典によるものだ。『ダヴィンチコード』の爆発的な人気もその動きを促進している。

 本書は、こうしたキリスト教会の内部で交わされてきた論争と、一般民衆の信仰とのせめぎ合いを、地中海世界と欧州キリスト教世界を中心に、歴史的に考察したものである。
 著者はジェンダー論の観点から、キリスト教の一神教がもたらすひずみについて的確な批判的考察を行っている。キリスト教内部の人でありながら、護教論的な姿勢ではなく、あるべき方向に向けて方向性を考察しているのは、宗教人類学という学問の性格だけでなく、著者の人生に対する基本姿勢も預かって大きいことは、半自叙伝である『死者たちのラストサパー』を読むとよく理解できる。
 ただ、全体の構成として、第二部の「聖母マリアとマグダラのマリア」の分量を2倍にして、第一部の「聖母マリアの原像を探る」は大幅に縮小するべきだったのではないだろうか。そのほうがより多くの読者の関心に応えるものとなったのではないかと思う。

 キリスト教徒ではない私は、キリスト教の「多神教化」は好ましい現象であると捉えているが、さてみなさんの反応はいかがなものだろうか。
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