酒見賢一と言えば、日本ファンタジーノベル大賞受賞の『後宮小説』や、全13巻に及ぶ『陋巷に在り』のような「中国物」が代表的ですが、この『聖母の部隊』は全く違います。本書は元々単行本から出発し、1篇追加されてトクマ・ノベルズとして出ていたものが、後に改めてハルキ文庫から出版されたものです。
私は酒見氏の本はどのジャンルも好きですが、ハルキ文庫から唯一出ているこの本は装丁もちょっとコミック風で、特に気に入っています。表題作の『聖母の部隊』は微妙な年頃の男の子達の描写が興味深かったです。酒見氏ご本人はトクマ・ノベルズ版のあとがきで『聖母の部隊』について「書くのがかなり辛かった」とおっしゃっていますが、またこういう感じのを書いて欲しいです。
ちなみに、トクマ・ノベルズ版、ハルキ文庫版それぞれに異なるあとがきが付いています。またハルキ文庫版の解説は恩田陸氏です。