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聖書を語る―宗教は震災後の日本を救えるか
 
 

聖書を語る―宗教は震災後の日本を救えるか [単行本]

佐藤 優 , 中村 うさぎ
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

クロノスとカイロス、キリスト教は元本保証型ファンド、「新世紀エヴァンゲリオン」の最終結論、『1Q84』は男のハーレクイン、日本は近代以前かポスト近代か、宗教に何が出来るのか…。共にキリスト教徒の二人が火花を散らす異色対談。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐藤 優
1960年東京都生まれ。作家・元外務省主任分析官。同志社大学大学院神学研究科修了。著書に『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)など多数

中村 うさぎ
1958年福岡県生まれ。作家・エッセイスト。同志社大学文学部英文学科卒。コピーライター、雑誌専属ライターを経て、小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 207ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2011/07)
  • ISBN-10: 4163743405
  • ISBN-13: 978-4163743400
  • 発売日: 2011/07
  • 商品の寸法: 19.8 x 13.5 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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同志社大学の先輩、後輩の関係でもある中村氏と佐藤氏の対談集。

「聖書を語る」とあるが、最近のはやりでもある聖書について述べている部分はあくまで導入部分にすぎず、(プロテスタント)神学を一つの切り口として震災後の日本社会の行く末を読み解こう、というのが本書の目的。聖書やキリスト教の勧誘的な要素は一切なし。

個人主義が行くところまで行きつき、モナド化して「孤人」になり果てた日本人が、先の震災を契機に「日本人としてのサムシング」(天皇でも宗教でもない、日本人として共有している「無意識の領域の宗教的なもの」)を媒介として自発的にまとまっていくのではないか(まとまりたくない人の「まとまらない自由」を認めている点が、戦前より社会が進歩した点)、という両者が導き出した「見立て」には非常に説得力がある。 また、父性的ではなく、母性的なカリスマ(例として複数の政治家名が挙がっている)が必要とされるのではないか、という「見立て」にもそれなりの説得力を感じた。

震災後、佐藤氏は一貫してこのトーンの論考を掲げているが、氏の見立ては日々「深化」しているようだ。

それにしても、「1Q84」を「キリスト教的スタンダードを押さえており、ヨーロッパでも高く評価される」と肯定的に評価する佐藤氏に対し、「個人と家族というテーマ設定に対して、作者としてなんの解答も提示していない」「エヴァンゲリオンの方が作者なりの解答を提示ており、評価できる」として否定的な自説を滔々と展開して見せたり、佐藤氏をして思わず「どうして今ニーチェがはやっているのですか」と問わしめ、それに対し堂々と説得力のある自説(それは神が死んだことに日本人が気付いたからですよ)を展開する中村氏はあっぱれ。
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20 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
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教養あふれるバリバリの神学の徒とキリスト教に根深く影響されながらも常識的な懐疑の精神を失わない作家による、聖書、文学、哲学、震災後の日本社会をめぐる興味津々の対話である。独自に考える力ではお互いひけをとらない両者の思考の交渉の妙に加えて、他力的なカルヴァン派の佐藤氏と自力傾向の強いバプテスト派の中村氏の、ポジションの違いから生じる微妙な対立が(佐藤氏が話をわかりやすくするためこの相違をあえて強調しているというところはあるが)、広がりのある宗教トークを成り立たせている。宗教論以外にも、中村氏の村上春樹論なども、ざっくばらんに本質をついた批判がくりだされていて実に腑に落ちた。
サブタイトルの「宗教は震災後の日本を救えるか」という問いに対しては、狭い意味での宗教(教理・教団)そのものが役立つかは、神も仏もありませぬな現代ニッポンでは不透明なところはあるけれど、政府が信頼できぬなかで「全体主義的なアナーキズム」を発揮して行動している日本人の感覚の背後にある、「神」のようなサムシングには期待ができるのではないか、という論調である。そうした観点から、石原都知事の「天罰」発言を一定程度評価しながらやはりピントがずれているといった適切な批評を加えるなど、いくつもの納得のいく議論が展開されている。3.11後の宗教と現代を考えていくうえで、重要かつ読んで面白い本であると思った。
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伝染、 2011/9/16
By cobo
お二人ともキリスト教に子供の頃から関わりが深く、しかも同じプロテスタントであるのですが、うさぎさんは(たぶんかつて)バプテスト派、佐藤さんがカルヴァン派ということで、結構乖離が大きいんです。

またお2人のそれぞれが好む聖書のエピソードもかなり違います。政治色強い佐藤氏と、裏切るという行為に人間的なモノを透かして見るうさぎさん、かなりの隔たりがありますよね。だからこそ、対談として面白く、いちいち引っかかるうさぎさんに対して、大人で知識豊富な佐藤氏がいちいち大人の対応をするのがまた含蓄あって良いです。

で、次の章では村上春樹の「1Q84」とサリンジャー作品を扱います。この両者の作品と同時にうさぎさんが例に出すのが「新世紀エヴァンゲリオン」でして、なんとなくこの例を出すのは分かります。私も「ATフィールド」や「人類補完計画」を使っての世界と個人のかかわり方の方が村上春樹の「1Q84」よりは納得できます。ようするに母性という神話で男性は救われる、という安直で、単純で、男性主義的なものではないだろう、ということですね。モナドを使った解釈、共通に敵を見つけることでの結束(ということを最も上手く描いていると個人的に思うのは藤子・F・不二雄の「イヤなイヤなイヤな奴」だと思ってます)については確かに、です。

さらに聖書へとまた話しが戻っていくのですが、原罪についての受け取り方、うさぎさんの解釈はなかなか鋭いと思いました。詳しくは読んでいただくしかないんですが、「原罪」は「セックス」ではなく他者の目を意識した「自意識」によって生み出された「自他」であるのではないか?と。この部分だけでもこの本を読む価値があったと思います。

この本の後半半分を、やはり3.11の震災後に「宗教」は役立つのか?という大きな題に割いています。

佐藤氏の言う「伝染」という考え方は、以前に読んだ大澤さんと宮台さんの著書『大澤真幸THINKING「0」第8号 正義について論じます』の中に出てくる「感染(ミメーシス)」という考え方と同じなのではないか?と思いました。しかし佐藤氏はいろいろなことを良く知ってますね。

プロテスタントについて考えて見たい方にオススメ致します。
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