宗教を語る際に、外部の視点を維持することは非常に重要なことである。ひねくれものであるだろう著者は、そのように宗教を批判的に解読する本能のようなものがある。全体を通じて、聖書に対する敬意が感じられるし、だからといって盲信しているような所もなく、距離を保っている。時には伝説に近寄り、時には当時の政治や地理などの客観的な視野に立つことに寄り、バランスのいい視点を獲得している。また、導入部分から読みやすい構成になっており、聖書読破に挫折した私には非常にためになった。聖書にふくまれるさまざまな謎を簡単なミステリーとして読ませる筆者の手腕にはおどろいた。多少、読み易すぎるきらいはあるが、それは入門書として考えれば何の問題もない。聖書に興味がわいてきた。