厩戸王はいたけれども聖徳太子はいなかった、十七条憲法も聖徳太子が作ったとは言えないという説はここのところ盛り上がっている学説のひとつです。聖徳太子の数々の功績は教科書にまで書かれていて一般的には誰もが実在を疑わないわけですが、実はその話も結構あやうい根拠に基づいていて、深くつっこまれないまま定説化してしまっているのも事実です。
著者の大山誠一さんは先陣を切ってこの虚構説を提唱されている先生なのです。現在の聖徳太子論は、ある意味「大山誠一説をどうとらえるか」ということに対してああだこうだといろんな人がもの申しているのが現状で、肯定派と否定派にぱっくりとわかれてしまっているような状況が続いています。
面白そうだからちょっと読んでみたいなと思われる方もいらしゃると思いますが、実際この聖徳太子の話には数多くの文献の引用と登場人物が出てきて、ある程度の知識がなければ半分以上ちんぷんかんぷんという難しい本が多いのです。そんな中、この本は比較的やさしい文体で書かれていて、初めてトライされる方にもおすすめできます。それでも十分にわかるかといえばそうではないのですが、なぜ聖徳太子がいなかったといえるのか、その根拠や問題点は十分にこの本で知ることができると思います。
また、この本が面白かったら「聖徳太子の真実」と「聖徳太子の実像と幻像」を次におすすめします。