古川日出男氏の小説は今回が初めて。エンタテイメントでデビューしてから純文学へ移行するパターンはここ10年ほど散見される作家の変遷だ。僕は「何故日本の純文学作家は歴史をテーマにしないのか?」と不思議に思っていたのだが、著者はこの二段組700ページを超える大著でそれに挑戦している。とにかく実験手法のオンパレードのような小説だ。土俗/近代、家族/個人、地方/都市、etcetcをを狗塚家という家族を中心にして、時空を自在に変化させ作品は進む。その手法も、散文詩、メタフィクション的な視点の導入による客観化、音楽的手法によるリアリズム的因果関係のズラし、と様々な仕掛けに満ちている。しかし、まだ完成度が低くストーリーテリングにおいて大成功とは言えない。確かに小説形式の限界に挑んだ小説ではあるし、著者の志は高い。その点を買って★四つなのだが・・・・。うーん・・・。著者はまだまだこれから頑張って貰いたいし、本作を超えるメガノベルを書いて欲しい。
追伸:しかし、こういったスタイルの大著を出版させる集英社は懐が深い。