建築探偵桜井京介シリーズの第12作目に当たるわけですが、
本シリーズでは物語の中に時間進行が容赦なく組み込まれているので、
悪魔的美貌の主人公は三十代に突入し、大学院生からフリーターになり、
いつしか建築研究家としての要素はどこへやら・・・・。
そして同時に一読者たる私の上にも現実時間は容赦なく流れている。
本書ではシリーズ収束に向けて、主要キャラ以外にも過去の登場人物が多数再登場するが、
一体だれが何処で出てきた何者だったのか、なんかもう全然思い出せない。
この問題を解決する手段を、とりあえず講談社は考案して欲しいと思ったりした。
ミステリーも最近は、トリックよりストーリー性を重点に置いた作品がかなり有るような気がするので、
本書の内容は(私は)それほど気にならなかった、というのが正直な感想です。
寧ろ、面白いなぁと思ったのが、新興宗教やカルト団における社会的な問題に隠れキリシタン(潜伏キリシタン)における歴史的視点を絡めているあたり。
勿論作者の思惟によって書かれているので、この観点を鵜呑みにするのは危険だろうけれど、
普段自分が考えてなかったあたりを突かれたんで、テーマとしては有意義じゃなかろうか、と思う。個人的に。
なんとなく最終的に脱・やおいを目指せたら(意外性という点で)いいような気がする。(多分私はかなり驚く)