<奇跡の水>で有名な元祖スピリッチュアル・ポイント、フランスのルルド。実は4年ほど前に観光でこの地を訪れたことがあるのだが、いまだに(といっては語弊があるが)白衣姿のシスターやボーイスカウト少年が、重度の病や怪我を負った患者さんがのった車椅子を押している姿をいたるところで見かけたのを覚えている。街の中央にどでかい聖堂が建っていて、その広場で盛大なミサが開かれていた。
アカデミー賞5冠を達成した本作品は、この<奇跡の水>が湧き出す泉を発見した聖女ベネディット(ジェニファー・ジョーンズ)の半生を描いた1本だ。貧しい家に生まれたベネディットは妹たちとある日薪拾いに出かける。体が弱いベネディットが川の手前で妹たちを待っていると、なんとそこに貴婦人(聖母マリア)があらわれこの丘に毎日通ってくるように告げる。その噂はたちまち街中に広まり役人や警察をまきこんだ騒動に発展。ベネディットの話に懐疑的な人々は「奇跡を起こして証拠をみせろ」と声高に叫ぶのだが・・・。
この作品はれっきとしたアメリカ映画なので、単純なカソリックのプロパガンダになっていない点に注目したい。むしろ、科学や法律を信奉する役人や医者vsベネディットの奇跡を信じる民衆という構図に着目した社会派ドラマに仕上がっている。騒動で街への鉄道敷設が中止になることを恐れた役人連中が、あの手この手でベネディットを“嘘つき女”に仕立てあげようとするシークエンスなどは結構エグく描かれており、教会が政治案件として関わりをさけ中立的立場をとろうとするところも面白い。
結局は、彼女が掘り当てた水に病気を治癒する効用があることが発覚し、ルルドに各国から押し寄せる信者や患者の前に役人側が完敗をきっしてしまう。映画は、神父の勧誘によりシスターとなったベネディットのその後も描いており、乙女の純粋な信仰心が強調されたラストを迎える。水の効用については定かではないが(実際に飲んでは見たが・・・)、ルルドの地で起きた<奇跡>を社会問題としてとらえた着眼点がすばらしい秀作だ。