『聖なるもの』は以前、呉智英氏が書評で、80年近く前の本でありながらいまだに長く読み継がれている名著として取り上げ、オウムなど宗教の問題と絡めて紹介されているのを読んだ覚えがあります。
この単行本は、岩波文庫版よりも訳文が読みやすく、ページの下段にも訳注・原注が入っているので理解しやすい構造になっています。
昨年ようやく復刊された岩波文庫版の山谷訳と新たな華園訳を読み比べてみるのも面白いかもしません。キリスト教、神学・宗教哲学を学ぶ者にとって基本的文献ですが、宗教間の対立や紛争など、21世紀の今日でも、宗教問題は社会が直面する課題です。宗教というものに関心のある人には参考になる一冊でしょう。このような本格的な単行本が新たな訳者で刊行されることは一読書子として大変うれしい限りです。