往年の筒井康隆の創作エスニック物を思わせるような冒頭部分、いきなりの○○○○というワイルド行為に及ぶヒロインに度肝を抜かれた。出だしはややテンション低めの文体も、中盤以降どんどんテンションが上がり続け、この作者は何か服用しながら書いているのではないかと疑わずには居られない。読了後にいきなりの二周目を久々にやってしまう程気に入りました。
旧ソ連を思わせる架空の全体主義国家「活動体連邦」を舞台に、周辺衛星国の国家元首子弟ばかりが集まる寄宿舎へコネでやってきたエリート官僚のぼんくら息子レイチ・レイーチイチと、野蛮な風習を守る蛮族の国シャーリック王国第四王女ネルリ・ドゥベツォネガとその他寄宿舎の仲間達との交流を描く。
レイチとネルリが繰り広げる異文化カルチャーギャップ漫才は星界の紋章的なものを少し連想した(キャラの性格は全く違うが)。
ちょっとした失言が命取りになる全体主義的社会で、ひたすら目立たないように生きているレイチ。精神的に追い込まれると発動する現実逃避の妄想と、ひとたび必要に迫られると体に染み付いた生き残りの処世術スキル発動の切り替わりのギャップがとても面白い。面白いだけでなくなんとなく哀愁まで感じるところがまた面白い。後半は一種の校内政治アクション的展開でスピード感もあり、さらにどんでん返しありで楽しめました。
いきなり異世界物なのでその手の物が苦手な人は出だしだけ少し読みづらいかも知れませんが、ひとたび文章のテンションが上がってくればそれ程気にせず読めると思います。