登録情報
|
哲学とは言葉で考えるものでもないし、教養のように知識でもない..とは著者の弁だが、この本を読むとそれがよくわかる。そして私はというと「なるほど」と納得したりするが、読んで消費しているだけで自分で考えたりしていない。多くの人にとってそうなのだと思う。ただ記憶のどこかにあればあるテーマについて考える契機が増えている自分に気づける。そこから先を考えるには生産から遠ざかる時間も動機も必要。池田晶子入門本。
・「生存するために、なんらかの思想や情報を繰り返して教え込むことを、普通には「教育」とよぶ。「教育」は明らかに「洗脳」の一形態である(P. 23)」…もっともです。だから、大人は公教育の場で子供に何を教え込むのか、を議論するのでしょう。もっとも、そこで教え込まれるのは社会の最大公約数的な決まり事に過ぎませんが…。
・「「われわれはこうである」ということと、「私はこうである」ということとは、全く別のことではないか(P. 28)」…「○○世代」と自ら名乗ることの不可解さについて述べているのですが、同感です。よく知る特定の相手の気持ちを代弁するならまだしも、同世代というだけで赤の他人の気持ちを一括りにできるという感覚には確かに疑問があります。
・「人生と存在の意味と無意味は、若いうちにうんと考えておいたほうがいい。「生きる力」というのは、言葉を換えれば、「腹の括り方」みたいなもんだからである(P. 104)」…大学時代のように自由な時間の中で、「これで食っていく」という将来の方向性を決められる人間は偉いですね。皆、就職活動の時期が来てから雰囲気に流されて、どこかの会社に引っかかる訳ですから。多くの選択肢の中から一つに腹を括るというのは偉大です。
・「「なぜ生きているのか」という問いには、「生まれたからだ」という答えが最も正確なのである(P. 39)」…途中経過としてあれこれ理由をこじつけますが、死ぬ瞬間まで決まらないでしょう。
「問題を考える」ということについて首肯する指摘が多数ある良書です。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|