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考えるヒント〈2〉 (文春文庫)
 
 

考えるヒント〈2〉 (文春文庫) [文庫]

小林 秀雄
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

忠臣蔵III、学問、徂徠、弁名、考えるという事、ヒューマニズム還暦、天という言葉、哲学、天命を知るとは、歴史の十二篇に「常識について」を併載して、考えることの愉悦をおしえる。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

「私の書くものは随筆で、文字通り筆に随うまでの事で、物を書く前に、計画的に考えてみるという事を、私は、殆どした事がない。筆を動かしてみないと、考えは浮ばぬし、進展もしない…」と述べる著者が、展開した深い思索の過程が本書である。もはや古典ともいえる歴史的名著の第二弾が遂に復刊。

登録情報

  • 文庫: 246ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2007/9/4)
  • ISBN-10: 4167107139
  • ISBN-13: 978-4167107130
  • 発売日: 2007/9/4
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
この本の中で小林秀雄が深い共感をもって取り上げている近世の学者の思想が、いかに「学問」への強い憧れによって支えられているか。そして、それを語る小林の文章に、真にあるべき学問の姿への希求がどれほど満ちていることか。それを読む我々の中にも、「学び」への憧れが湧きあがってくる。学問をする喜びと倫理とが一致した江戸学問の雄たちへのオマージュとして、これ以上のものはない。日本にこういう人々がいたということを知るだけでも、敬愛の念に支えられて、心が豊かになったような気がする。もちろん、小林のこの期の文体は円熟した見事なものである。

 登場する中江藤樹も熊沢蕃山も仁斎も徂徠も、官製の学問ではなく、天地にひとりで生きてある己と一体となりうる「学問」を追求した。このわが国の思想の流れは宣長を経て、福沢諭吉にまでつながるものだ。小林による「学問のすすめ」として、強く推薦したいと思う。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:文庫
 小林秀雄の批評スタイルとは、読書を通して会ったこともない先人(=本書ではソクラテスやデカルト、フロイト、福沢諭吉や江戸の儒者達など)の思考や感情を「私はこう見た」と啖呵を切ってみせる、自分の批評家としての目を特権化したものだ。下手な者が真似をしても嫌味にしかならないスタイルだが、幸い彼の場合、その視点と切り口がインテリや専門家達の常識にしばしば反していても、いやそれが故に逆に非常に普遍的かつ説得力があったため、名文家としての技量も相まって「芸」として批評が成立していた。

 シリーズ1巻目が比較的短文でかつ身近な題材のエッセイが多かった一方で、この2巻目では著者自身がそんな自分の批評スタイルを理論化するように、仁斎や徂徠、宣長など江戸の学者達やデカルトの哲学の読み直しを行っている。特に仁斎と徂徠についてはかなり詳しく論評しており、「論語」を読み込み沈潜することでそのエッセンスを自らの生活の中で生きて語った彼らが、単なる訓詁学化した官学(朱子学)と対抗する様に、自らの批評スタイルを投影しているのが興味深い。デカルトの演繹論についても、結局あらゆる「知」とは本を読んだくらいで習得できるものではなく、それを各々が生きねば得ることはできないとデカルト自身が考えていたのではないか、ということを「方法序説」の端々を引用しながら語っている。そして、我々は各人の生活を通して先人達の思想に相対して驚くことしかできず、そういう時に理解の鍵となるのが「常識」であるはずだ、と結んでいる。つまり、彼は自分の批評家としての判断背景に「常識」を持ってくるという理屈をつけたのだが、この辺は実際の批評スタイルとの逆説的関係もあったりして面白い。

 原典に馴染みがないと前巻のようにスラスラ読むというのは難しいと思うが、小林秀雄の批評論が思想/哲学に昇華されていく重要な文章が凝縮されているため、ファンにとってはやはり必読の一冊だろう。彼が敬愛した江戸の古学者達がそうしたように、我々もじっくりと時間をかけてこの本を読み込んでいけば良いのだ。
このレビューは参考になりましたか?
By New JJ-K 72 トップ1000レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
日本が生みし至高の文士・小林秀雄さんが、純粋であり透徹した思想家達の思想の本質を論じた1961年〜1964年の深遠なるエッセイ。

江戸期の天才思想家(伊藤仁斎、荻生徂徠)や西洋の偉人(フロイト、デカルト)の思想の本質を鋭く浮き彫りにし、論じた言葉が、所謂スピリチュアルな話もされる船井幸雄さん、大下伸悦さん、川島伸介さん達の言葉と重なることに真理というものの存在を感じることができました。

以下の抜粋に心惹かれた方は、ぜひ本書をご自身でお読みになり、更に、引用されている思想家達の原著を紐解かれては如何でしょうか。

〜文中より抜粋〜

・精神の歴史には、無意識の連続性がある事は、心理学の常識である。武士道とは、武士が自らの思い出を賭した平和時の新しい発明品なのであって、戦国の遺物ではない。

・読書するとは、知識の収集ではなく、いかに生くべきかを工夫する事であった。信頼する人間と交わる楽しみであった。

・孔子は智を好むと言ったことはない。ただ先王の遺した確かな行動の跡を好み、これに遵(したが)ったまでだ。

・理を言い、智を喜ぶより、生きる方が根底的な事だ、知るより行うのが先である。

・今日の学問では、人情を解せず、人倫を弁(わきま)えなくても、学問の正しい道は歩けるのである。

・言葉を静観すれば、言葉は、人々の思惑ではどうにもならぬ独立の生を営んでいるものである事を知るであろう。

・考えるとは、物に対する単に知的な働きではなく、物と親身に交わる事だ。物を外から知るのではなく、物を身に感じて生きる、そういう経験をいう。

・一芸に通達した者は、自ら万時に就いて、その本質的なものを掴むと言っていい。

・過去とは思い出すという事だし、現在とは行動している事だし、未来とは願望し選択する事だ。

・学問とは人生の意味と価値とについての学問である。

・孔子の「我ヲ知ル者ハ、其レ天カ」とは、天が、「道ヲ伝フルノ任」を命じたと知ったということ。孔子は理想に襲われたのであって、孔子が天を知ったのではない。

・知らざるを知らずとする為には、どれほどの知力が必要であったか。

・人間の知恵の出現は、突然であるより他はない。太初に言葉あり、という古言も、そのまま素直に容認して置くに越したことはない。素直に容認すればこそ、太初に或る分子構造があったという発想が、歴史的産物であることも亦素直に容認出来るのだ。

・過去は現在に生きている。

・誰にでも自然に備わっている基本的な知恵の種子を、どこまでも育てる事は可能だ。

・確信というものには、言葉を超えるものがある。

・思うとは意識的に生きること。

・自然の光、或いは知恵は、どこまでその根源にさかのぼってみても、人間的な具体的な内容を失わないもの。これを栽培しなければならぬ。

・堂々と構えた既成の知識の建物を、みんな壊して、全く自然で単純な明瞭判然たる判断に基づく建物を、自分の手で設計し、建築しなければならない。

・詩人が、自分の使用する言葉について、詩的直観しか要求していないように、追い詰められたデカルトは、その哲学的諸原理について、形而上学的直感しか要求していない。

・デカルトのメディタシオンは、「私達は、私達の本性の弱さを承認しなければならない」という文句で終わります。本性の弱さは完全だと言うのです。彼は、これを選び、これを信じたと言っていいでしょう。それなら、全知の神を選び、これを信じたのは当然だろう。

・「哲学の全体は一本の樹で、その根は形而上学、幹は物理学、幹から出る枝は、他の諸学全部。一番貴重な実が、諸学の成果たる高い意味での道徳である事は、言をまたぬ」とデカルトは言う。
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