人間の日常的な推論に認知的な制約や感情的な要因が入って合理的にならない。著者の問題意識は、そのバイヤスやエラーに焦点を当て思考の改善を図っていこうとするものです。
本書でも紹介されているいくつかの事例で、自分自身もはっとするような思考の誤りを気づかされることがありました。印象的だったのは、「確率・統計」で1賭博者の誤解(コインで四回続けて表がでた後は裏が出そう、これは誤解)2大数の法則(確率は標本が大きくならないと、本来の率に収束しない。標本が小さいとイレギュラーもありうる)3相関関係から単純に因果関係を推測してはいけない4長い目で見ると、結果は回帰の平均に近づく・・など。特に「ベイズの定理」における、「事前確率の無視」は良くあるエラーです。<
他にヒューリスティックなエラーは上記以外に「検索容易性」(たまたまある利用し易いデータで判断してしまう)や「アンカリング」「ステレオタイプ」「推論は自分を守り・他者に同調し・期待に沿ったものになること」なども紹介されています。冒頭の著者の意図にしたがい、認知心理学の成果が網羅的に叙述されており、時々は自分の思考をここのリストに照らしてチェックしてみるのが有効かもしれません。