「カノッサの屈辱」、「料理の鉄人」等を手がけた著者がアイデアの出し方を綴ったもの。題名は勿論、小林秀雄「考えるヒント」のもじりだが、むしろエッセイとして読んだ方が楽しめるのではないか。多彩な人物(多くは実名)やエピソードに触れるだけで、心に安らぎを覚える。
著者はpositive thinkingが好みのようだが、読者はこれを素直に取るべきではないだろう。positive thinkingだから成功したのではなく、成功したから著者の過去の選択をpositive thinkingと捉えられるのである。こうすれば成功するという魔法がある訳ではなく、本書で書かれているのは成功した人の体験談なのである。なので、本書を読んでもアイデアマンになれる訳ではない。しかし、その体験談の中に読む者の心を和らげるエピソードが含まれているのである。読者は各々の嗜好に応じて楽しめば良い。
著者は有言実行の人でもあるらしい。「誤字脱字をチェックすることより、原稿の内容を濃くすることのほうが優先順位は上」と書かれているが、p.96の五行目の「決して安くない」は「高くない」の誤りだろう。これぞ、positive thinking ?