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41 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0
松尾スズキはこんなもんじゃない,
By モディリ兄"ルノR" (東京都中野区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 老人賭博 (単行本)
以前から松尾スズキには好感を抱いていて、「今度こそ芥川賞を取れるといいなあ」と陰ながら応援していた。だから今回の芥川賞が受賞作なしと発表されたときは、「あげたらいいじゃん、ケチだなあ」と同情さえしていた。この本を読むまでは。 イカサマ賭博にハメられた俳優兼脚本家の海馬を救うため、弟子である金子がニコラス・ケイジ似の磯山というヤクザと酔っ払いの女を連れて、バーに駆け付けたときのエピソードを以下に引用する。 傍らで倒れていた女が生まれたての鹿が立つようにギクシャク起き上がってポツリと言った。 「……酒」 磯山は女を抱き起こし、皆のいるテーブルまでひきずって行って座らせた。女はふっと顔を上げると「ツチノコはいると思いますか?」と言って、しばらくぼんやりし、「あたしはいると思う!」と絶叫してそのままドーンと頭からテーブルに倒れこんだ。 これ、笑えますか。 本作はここ以外にも、松尾スズキもどきを目指している人が書きそうな例えがそこかしこに散りばめられているのだ。 妻に逃げられた海馬が「さみしいから弟子でも取ろうかな」に始まり、ラストの師弟関係解消まで、全編を通してあまりにも都合の良すぎる性急な展開が盛りだくさん。これらをどう好意的に解釈すればいいのだろうか。 クライマックスのドタバタはごく控えめに言っても、笑えなかった。もっと言うと、頭の悪い芸能人が書いた小説もどきにまで堕ちていった。 まるでコント台本のノベライズを読んでいるような感じ。来年あたり「芥川賞受賞作を松尾スズキ本人が映画化!」という魂胆だったのだろうか。 言いすぎだと思うけど、世の中そんなに甘くないでしょう、松尾さん。あなたほどの人ならとっくにご存知なはずなのに。 筆者は大人計画の舞台をナマで見たことがない。「だからおまえにはこの面白さがわからないんだよ!」と、鬼の首を取ったように言う人もいるだろう。しかしそれと小説はまた別の話ではないかと思う。 正直これが松尾氏の作品でなかったら、芥川賞の候補はもちろんのこと、純文学の老舗『文學界』にも掲載されていないだろう。松尾スズキを特別視している人(自分も含めて)に言いたい。 「この小説、松尾スズキじゃなかったら褒めてますか?」と。 読後してからは、腹が立つ対象は芥川賞の選考委員ではなく、松尾氏に群がる太鼓持ちのほうに変わった。 候補に挙がったとき、「面白い! ぜひ受賞してほしい!」と騒いでいた連中。そして今も「なんであげなかったんだ!」と選考委員を旧態依然扱いして非難する一部の書評家たち。 そんなに松尾氏に目を掛けてほしいのかな。贔屓倒しにもほどがあるよ! 松尾さん、悪いことは言いません。いまあなたに耳触りのいい言葉しか言わないような、あなたを甘やかす取り巻きをすべて切るぐらいの勇気を持ってください。そしてまた『同姓同名小説』や『クワイエットルームへようこそ』(本来ならこれで芥川賞を取るべきだったのに)のような素晴らしい小説を書いてください。僕は待っています。
5つ星のうち 4.0
賞とか関係なく私は好きですよ。,
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レビュー対象商品: 老人賭博 (単行本)
以前から松尾さんの作品は読ませていただいております。今回の読めば読むほど面白くなる、じわじわくる感じがとても良かったです。 誰かの書評で噛めば噛むほど味が出るするめのような、、という表現に納得しました。 松尾さんの本はどれが好きかは好みが分かれるかもしれませんが私はこの本は面白かったです。 個人的に細かい表現の仕方がつぼで笑えます。 松尾さんの人柄が随所に滲み出ているような感じで。 よく本を読んでいてある最後にあれ?途中からこんな感じ?と思うこともなく、 本作は買ってよかったと思いました。
7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
松尾スズキワールド,
By shun (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 老人賭博 (単行本)
他愛のない簡易的なトトカルチョ。掛け金の多少にかかわらず現金がかかってるということでがぜんやる気をだす参加者。 それに振り回されてることもしらず、それゆえに一生懸命に仕事を全うしようとするじいさんや監督。 松尾スズキさんの小説、というか作品にはたくさんの人の思惑が交錯して、奇怪な状況を生み出すさまがありありと描かれる。 今回もそんな作品でした。 人により多少の好みの分かれるかと思います、クワイエットルームへようこそとはまた違った視点からひとの心を見事に描きだしてる作品だと思います。 あと、松尾スズキさんはとても言葉が面白い。 豊富な語彙と独特の発想力でまた新しい言葉を作り出す。あるいみでは大江健三郎さんのような作家さんなんかと重なる部分なのかも知れません。 人々の心中の繊細な機微と、それを表現するための多彩な言葉の数々。 惜しくも賞はとれませんでしたしがおすすめする作品です。
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