氏は,今まで介護のプロ向きに20冊も本を書いてきたが,この本はプロだけでなく,家族という素人,特に介護なんかしたくなかったのに,せざるをえない状況に追い込まれた人も読んでもらいたいとしている。それは,最近「これからは家族という素人こそが介護の質を決めていく」と氏が考えるようになったからだ。
前半は,介護というもののもつ意味が説明される。すなわち,人間は「元気」対「病気」という二元論で見ることはできず,その間にある状態の人のために「介護」が必要であること,その人のことをよくわかった家族の素人の介護の関わりが重要であることが語られる。
前半の説明部分は,論理に多少の飛躍とこじつけがあり,医師と看護婦に対する必要以上の辛辣さも垣間見えるので,ついていくのがちょっと大変だが,語り口はなめらかでつぼを心得ている。
特に後半部分は,「エアーマットでの床ずれ予防を売り物にしているような老人病院は,寝かせきりを売り物にしているようなもの」「デイセンターに出かけるのは,訪問介護100回分の効果がある」「ケアプランは本人と家族でも立てることができる」「埋め込みの広い施設の風呂が老人の入浴を困難にする」「『こんなものばかり食べていると長生きできませんよ』という食事指導は,何の説得力もない」「ベッドの利用や部屋の改造は老人本人と相談しながら進める」など,目からうろこの話がぽんぽんと飛びだして,イラストでのわかりやすく丁寧な説明も含めて,介護の素人には大いに参考になる。 (フリーライター 鈴木 康之)
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