未知の宇宙種属との交流で飛躍的に進歩したテクノロジーを有する宇宙植民者(コロニー)と宇宙から隔絶され技術的にも遅れた地球に、人類が二分された遠い未来。宇宙へと進出する人類の平和と繁栄は、「75歳の老人」で構成される「コロニー防衛軍」によって死守されていた。
地球人のジョン・ペリーも75歳の誕生日にこの防衛軍に入隊、コロニーの超絶テクノロジーで若返っただけでなく驚異的な身体能力を手に入れるのと引き換えに、四分の三が命を落とすと云われる異星人との非情な戦いに身を投じてゆくのだが・・・。
WEB小説として発表され、「21世紀版『宇宙の戦士』」と目された話題作。異星人の描き方からは「終わりなき戦い」や「エンダーのゲーム」とも比較されるようですが、私はむしろ「知性化」シリーズを彷彿とさせられました。
また「ハインラインのスタイルを取りながらも「若返った老人」を主役とする事で全く異なったテーマを内包する」、とする解説も決して間違っていないのですが、実は後半に現れる「ゴースト部隊」こそが元々のアイデアなのでは?と思えました(反面、こんなに「便利な」スーパー戦士が入手可能なのに、何故(おそらくコロニーに比べて「少数派」でもある)地球の老人を兵士にする必要があるのか?ぼやけてしまった気もしますが)。
「若返った老人」の視点で語る事で、物語の世界観を読者に共感・体感させ、「オリジナルの記憶を持たないクローン人間」の苦悩を際立てている、うわべ以上に案外深い作品なのかもしれません。
一方、「コロニーの超絶テクノロジー」の科学的考証が甘く「御都合主義」との指摘もあるようですが、「星を継ぐもの」などのJ・P・ホーガン作品が理解の限界な私のような「軟弱SFファン」としては、これぐらいがちょうど良いです。サクサク読んで楽しめました。
同じ宇宙を舞台とした続編がいくつか発表されているようで、さらにこの魅力的な世界観が補完されてゆくのでしょう(確かに本書だけではプロットが十分に活かされていないか?)。翻訳が待たれます。