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老いへの不安 歳を取りそこねる人たち
 
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老いへの不安 歳を取りそこねる人たち [単行本]

春日 武彦
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

老いることは、むずかしい……「若さという神話」への無自覚で強迫的な執着は虚しい。ならば、望ましい「年寄り」の適切なモデルはあるのか?歳をうまく取れないために生じる恥、勘違い、いかがわしい振る舞い。老人たちの不安に向き合ってきた精神科医が、臨床現場での知見と数多くの文学作品の読解をもとに、老人の心に迫る。哀しくもおかしな老いの見本帳。

内容(「BOOK」データベースより)

歳をうまく取れないために生じる恥、勘違い、いかがわしい振る舞い。老人たちの不安に向き合ってきた精神科医が、臨床現場での知見と数多くの文学作品の読解をもとに、老人の心に迫る。哀しくもおかしな老いの見本帳。

登録情報

  • 単行本: 216ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2011/4/7)
  • ISBN-10: 4022508523
  • ISBN-13: 978-4022508522
  • 発売日: 2011/4/7
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By ソコツ トップ100レビュアー VINE™ メンバー
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老いることが「損をした」と感じ取られる時代なのではないか。著者はそう考える。アンチ・エイジングなどといった醜悪な自己欺瞞にポジティブな価値が与えられ、老熟せずに若さにしがみついてジタバタする人間が増えている昨今の状況は。もはや「尊厳を保ち自己肯定している老人」のモデルは消失したのか。そのようなかつてあったように思える理想の老いの姿にノスタルジーを抱く著者は、現状に違和感をおぼえつつ、老いるとはいかなることか、そのかたちの探求を試みる。自己の人生のなかで出会ってきた様々に個性的な老人たちや、小説に描かれた味わい深い老人たちを参考にしながら。
その探求の過程において示されるのは、著者の考える素敵な老いや適切な「年寄り」のかたちも若干はあるが、ほとんどが、みっともなかったり、哀しかったり、ときには常識をはずれさえするグロテスクな老いの姿である。他者と生き別れ死に別れた孤独のなかで、死の可能性が充実したゾーンへと入っていく時空間の戸惑いのなかで、人間が抱えている厄介なものが唐突にあらわになる。老いるとは、あらゆる出来事に対する達観した精神の獲得といったようなものではなく、人生が与えてくる難儀さに相変わらず傷つけながら、なんとか過ごしていくことなのではあるまいか。
著者はもうじき還暦。これから来る本格的な老いの目前で、自分はいったいどう老いていくのかを不安に感じながら、老いの正負ないまぜの奥深さに触れようとしている。今後実際の老いを経験することで、その老人観は深まっていくことだろう。あるいは、老いの重みに圧迫されて妄言を吐くかもしれない。いずれにせよ、本書のような独特の老い論を展開した後に、彼がどのように老いていくのか、とても気になるので、気にしていきたいと思った。
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By yasq
老いをテーマにした精神科医としての雑文と、著者好みの老いを描いた小説やエッセイの紹介がいい塩梅で混じっていて、ちょっとした年寄りブックガイドになっている。それらの引用文を読んで、「ああ、読んでみたい」と思わせるのは著者の切り口が鮮やかだからだろう。現実に遭遇した精神科の患者のエピソードが挟まれていることがリアリティを保たせながら、そればっかりではなく、他者の文章を引用することで広がりも感じる。そういう意味では後半までこないとしっくりしてはこない。それにしてもよく読んで、自分好みの読書経験を記憶しているものだ。
著者の精神科医としての軸足の本も何冊か読んでいるが、それらもこの本のようなエッセイ的なものも微妙に揺れて冷静ではないところに共振してしまう自分はやはり同年代ということか。彼の言うところの「年寄り」を目指して、いや、目指してはなれないのだ、自然にそうなること。
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By cobo
スマートに歳をとっている目指すべき老人、というものをほとんど知らないゆえ(というのは、若く見える溌剌とした老人という存在にアンチエイジングというような欺瞞を感じるからであり、老人だからこその老人ぽさを感じさせる人が少ない、ということです)、なかなか現実味が薄いのですが「こうはなりたくない!」という老人は見かけることが多い(春日先生の遭遇したパンを落す老人には怒りを覚えました、その歳になってそれか!という対処の仕方なんです・・・)ということを考えると、恐らく「老人」というものに対する理想化と刷り込みがあってしかもハードルを高く設定してしまっているのでしょうけれど、老人にしか出来ない物事の収め方や生きた裏づけある知恵のようなものを期待してしまいますし、映画や本やマンガの世界ではよくいるタイプの老人像であるのに現実ではなかなかお目にかかれません。

春日先生も老人に期待するものが大きいようで、だからこそに失望も大きく、そのギャップに苦しみつつも自分が理想とする老人からも遠い存在であることに不安を感じていらっしゃるようです。なので「老人」ではなく「年寄り」と呼ばれたい、という吐露も何だか分かる気がします。

引用はいつも止めようと思うのですが(やはり本文の中で初めて接するからこその重みを無くしてしまいますし、勝手に引用すること事態が盗みに近いのではないか?感覚を持つので)、

『「大人げない」ことが、ときには純粋さや崇高さにアクセス可能な時代が今なのである。』

この方の文章にはセンス感じます。

そして、やっぱり出てきた「人間臨終図巻」山田 風太郎著。この本は外せないですよね。

誰もが今この瞬間も、1秒毎に歳をとっているという事実に向き合ってみたい方にオススメ致します、辛気臭いようでいて、そうではない認識があります。
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