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老いの超え方 (朝日文庫)
 
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老いの超え方 (朝日文庫) [文庫]

吉本 隆明
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

戦後最大の思想家が、自らの身に生じている肉体・精神の老いを徹底分析。身体・社会・思想・死をテーマに「超人間」たる老人について語り尽くす。共に暮らす子や孫世代にもぜひ読んでほしい一冊。身の回りの品々や吉本式体操法を掲載したカラー口絵付き。

内容(「BOOK」データベースより)

誰もに訪れる、年齢による病と身体の衰えをどう超えるのか?戦後最大の思想家が、自らの身心の老いを徹底分析。身体・社会・思想・死をテーマに「超人間」たる老人について語り尽くした、画期的な吉本老体論!日々の吉本式体操法と道具を紹介するカラー口絵付き。

登録情報

  • 文庫: 317ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2009/8/7)
  • ISBN-10: 4022616407
  • ISBN-13: 978-4022616401
  • 発売日: 2009/8/7
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
ほぼ同じ歳の両親を見ていたところなので、「これは!」と思い、読んでみた。海での遭難、病気を経ても吉本隆明は健在でした。実は、若いころは吉本さんの文を読んでも、ほとんど意味がわからなかった。これは、インタビューという形式も、進行もよかったのだと思う。答えが一つ一つ腑に落ちる。なるほど、こう考えれば両親の老いも、自分の老いもわかるという気持ちになったり、枯れたユーモアにニヤリとしたり・・・。わたしも、生きてるうちに、あの吉本隆明の言っていることを理解したという安心感と喜びを持つことができる1冊です。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
  
 「要するに老人とは何かというと、人間じゃない、「超人間」だと理解するんです。動物と比べると人間は反省する。動物は反射的に動く。人間はそうではない。確かに感覚器官は鈍くなります。でも、その鈍くなったことを別な意味で言うと、何かしようと思ったということと実際にするということとの分離が大きくなってきているという特性なんですよ。だから、老人というのは「超人間」と言ったほうがいいのです。」(本書p.37)

 上述の一文は、吉本隆明さんによる《老人》の定義だ。このことは『中学生のための社会科』(2005年)というテキストでも「老齢者は意思し、身体の行動を起こすことのあいだの『背理』が大きくなっているのだ。言い換えるにこの意味では老齢者は『超人間』なのだ」と述べている。「超人間」という表現の仕方に、先ず“吉本さんらしさ”がある。確かに実感として、私も時折、猪突猛進的に行動する場合があるけれど(笑)、「意識したこととやることの分離が、若いときや壮年時に比べてはるかに大きくなっている」(本書p.82)のは事実かもしれない。「超人間」という《老人》の捉え方が、第一のキーワードとなろう。

 当書は、インタビュー形式を通じて、“老いること”と“老いの超克”を吉本さんに自在に語ってもらっており、ある意味では“老いに関する思想的な考察”ともいえよう。こうした語らいと「語録」の中で、吉本的な言い回しが随所に現れ出てくる。例えば「老人問題というのは、病気でいえば心身症」とか「ご老人の心身は、発掘すべき最新の考古学」とか「老人の自由度の拡大」とか「死ねば死にきり」とかであるが、最も吉本さんらしいのは、人間を「自己としての自己(個人としての個人)」と「社会的な自己(社会集団としての個人)」という捉え方、つまり初期マルクスの『経哲草稿』的な認識の仕方であろうか…。

 この《人間存在》を「個」と「類」に弁別する「哲学」は、いかにも“吉本さんらしさ”を垣間見ることができる。このことは「やはり自分の中の個人、家族を入れてもいいですが、血縁としての一個人というのと、社会的個人といいましょうか、社会の中での個人というのを、老人ご自身が自分の中で自覚的に分離することができるのが理想だと思います」(同前p.56)というフレーズにも表意されている。それはそうとして、吉本さんの「結局、死については家族に囲まれて、家庭で死ぬことが一番幸福なのではないでしょうか」(同前p.222)という言葉は大いに首肯できる。私も「超人間」として家族に看取られたいなぁ…。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 柴風
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 まず、冒頭のカラー口絵頁でビックリ。自分の使っているおしめを恥ずかしげもなく写真に撮らせている。
 そして、カバー裏表にある数枚の吉本さんの近影。中でも、表左下、猫背蟹股で杖を突きながら街を歩く吉本さんの姿は、衝撃的ですらある。そう、たんなるヨボヨボのおじいちゃん。これがあの、「戦後最大の思想家」と言われた人のなれのはてか(失礼)と思うと、目頭が熱くなってしまった。
 思想は老いないが、肉体は老いる。それは避けようも無い事だ。近年吉本さんが、毛沢東を引き合いに出し「自然にはかないません」と口にするたびに、いまいちピンとこなかったが、本書を読むと、五臓六腑に沁みて来る。

 吉本さんにとって、まさしく自らの「老い」は第二の戦後と位置づけられよう。そこから、かれは全く新しいパースペクティブでもって、新たな知を紡ぎだしている。それが、総体的な感想だ。
 少なくとも、今世紀に入って乱造された吉本さんの著書の中では、トップクラスに感銘を与えるものだと断言できる。

 なお、「老い」とは直接関係ないが、本文中の「一問一答」で、ヘーゲルを巨大な「近代」としているのに対し、フーコーを巨大な「現代」と対比させている点。また、サルトルを「間違った」マルクス主義者としているのに対し、花田清輝を「惜しい」マルクス主義者、さらには、埴谷雄高のことを「誤った文筆家」としているのは、非常に興味深かった。
 読者が考えるほど,彼は花田清輝を嫌いではなかったのかもしれない。安部公房も最後まで彼を尊敬していたし、私なんぞにはチンプンカンプンな人だが、改めて花田清輝の研究をしてみるべきかな、とふと思ったりもした...

 付け加えると、かつて吉本さんは、岩波/朝日のサヨク文化をことのほか嫌っておられた。しかし、その彼が今では、朝日新聞社から文庫を出す世の中になりました。
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