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43 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
年老いた母親にポンポン言われている感じ,
By ヴィト原石 " " (茨城県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 老いの才覚 (ベスト新書) (新書)
古稀をとうに過ぎた同じ高齢者として読んだときの感想は、女性は年取っても元気に物をいうものかな、ということでした。曽野綾子という作家については、通常とは少し違う独特の視点から書くエッセイが好きで、若いときからいくつもの作品を読んできたが、この本は著者の他の本ほど味わいがない。言いたいことをポンポン書きなぐったという感じがする。人の境遇はさまざまであり、生まれつきもっている遺伝子も違う。老年になると、会社や組織やときには家庭からさえも、いやでも離されるから、人による境遇の違いは際立ってくる。それでなくとも、病気、障碍、災害、貧困など、自ら望まず自分のせいでもない不幸を背負うことも少なくない。この本には老年に味わうどうしようもない不自由さに対する思いやりを感じない。下世話な言い方かもしれないが、著者の田園調布の家は親譲りで、しかも管理に庭師を頼むほど広い庭付き。著者は、74歳まで日本財団会長を務め、現在も種々の理事、代表、社外取締役の役にある。このような境遇にある人から、一文なしになったら野垂れ死にを覚悟せよ、老年の仕事は孤独に耐えること、などと説かれても説得力を欠く。この本を、人生のマニュアルや指針と思って読むと間違うでしょう。どこか一箇所でも、読んで元気になれるところがあれば、良しとすべきかも。最後のアデマール・デ・パロスの詩(マーガレット・フィッシュバック・パワーズ:1964の詩だと思っていたが?)は心打つが、この本全体の末尾にはそぐわないと思われる。
43 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
品格の漂う日本語と、もうひとつよくわからない根拠,
By
レビュー対象商品: 老いの才覚 (ベスト新書) (新書)
よく売れているようなので、読んでみた。気に入る/気に入らないは人それぞれ。個人的には、老いに対して自立の大切さを促す視線には新鮮に感じるものも含まれていた。ただ、少なくとも自分の周りを見る限りは、多くの年配者が「他人に迷惑をかけたくない」と自立して生きることを願っている。なのに、体が不自由になってゆくにつれてそれがなかなかできなくなってしまっているというのが実態のように思う。それにしてもこの本、主張の根拠となるロジックがところどころおかしい。 例えば、日本の高齢者医療サービス利用度がアメリカ/フランス/ドイツ/韓国と比べて高い理由として、日本の老人が「保険料を払っているんだから元をとらなくては」と考えがちだからだとしている。しかし、このデータからはそんなことはとても読み取れないし、日本人がこれら4カ国の人たちよりも元を取ろうという意識が特別強い国民だというのも考えにくい。 また、今の日本の間違いは備えをしない人がかなり増えたことだという主張も、ここで紹介されている単年度のみの統計値でどうして過去と比較したこんなことまで断言できるのか、首をかしげてしまう。 映画や美術館のシニア割引はあっても良いし、後半では各種無料イベントも活用して楽しめと主張している一方で、高齢者向けのバスの値段はむちゃくちゃだとしている。しかし、映画鑑賞や美術鑑賞は単なる娯楽である。一方、足腰が弱った老人にとってはバスは大切な生活の足である。「安いから暇つぶしに乗っているという人もいました」などという例外を強調しながら、娯楽ならOKなのにバスの割引については批判するのはどうだろうか。 言葉使いの硬軟が巧みで読者の共感を呼ぶ文体だが、根拠が適切ではない意見を言葉の上手さで押し切っている部分も散見される本だった。
74 人中、58人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自分も30年後にこうでありたいと切に願う,
By 英太郎 (ロンドン) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 老いの才覚 (ベスト新書) (新書)
自分は現在48歳。まだこの手の本を手にするにはいささか早すぎる年齢かもしれないが、これまで人生の半分以上を生きてきて「そろそろ残りの半分について真剣に考える頃だな」と思い読んでみた。 著者の作品からはこれまでも何度も貴重なアドバイスをもらい、時には耳に痛い人生訓を聞かせてもらってきたが、本作も「読んでよかった」と読了後にしみじみ思った。 自分の心に響いた著者の言葉をいくつか書き出してみると、 ● 「日本は経済大国なのにどうして豊かさを感じられないのか」とよく言われるが、答えは簡単。貧しさを知らないから豊かさがわからない。 ● 老人が健康に暮らす秘訣は、目的・目標・生きがいをもつこと。 ● 人間はどんな状況も足場にしなければならない。どんなことにも意味を見出し、人生を面白がること。 ● 老人には大きく分けて二つの生き方がある。得られなかったものや失ったものだけを数えて落ち込んでいる人と、幸いにももらったものを大切に数え上げている人。様々なものを失っていく晩年こそ、自分の得ているもので幸福を創り出す才覚が必要。 ● 孤独と絶望は、勇気ある老人に対して「最後にもう一段階、立派な人間になりなさい」と言われるに等しい神からの贈り物。 おぼろげにイメージしていた自分の老後について、あるべき姿のヒントをまた授けられた気がする。 巻末の情報によると、本作は著者がちょうど79歳の誕生日を迎えられた月に発行されている。 昨今の老人は昔に比べて元気になったとは言うものの、全編にみなぎる著者の気骨とバイタリティにはあらためて驚かされる。 果たして30年後の自分がこのような矍鑠たる精神状態でいられるかどうか、甚だ自信が無い。
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