作家栗本薫さんを最初に知った小説です。
上巻は悪魔的美少年、良を巡る芸能界を舞台にした愛憎劇、
下巻は同じ時間軸の中で良を慕いながらも嫉妬し
欲しいものを得られず、良に奪われ、それでもあがいていく透のお話。
ジャンルはいわゆる耽美、あるいはBL小説なのですが
非常に人間の心理をついた小説で読むたびに切なくなったものでした。
特に水銀灯のような良に吸い寄せられて虫けらのように破滅していく男達と
一歩引いた目でそれを眺め、そして自分の本心を知ってしまう透の描写は
大正昭和の文豪の作品に匹敵する心理描写です。
是非復刻して欲しい作品です。本当に手放して「しまった」と思っている小説。
人間の性と欲望、存在意義について考えさせてくれる傑作です。