『英米小説演習』が授業のレポートなら、さしずめ本書は授業の「実況中継」。
まず筆者らしい、授業風景のコマメな説明が4ページほどあり、300語〜400語程度の英文原典を、2・3文に分け、学生数人の訳文をていねいに添削していくのが授業の骨格で、その添削過程が授業の/本書の中味。そこから、翻訳の苦労というか、吟味のしかたが、あるときは主観的に、またあるときは経験法則に基づいて、じつに愛情ある細やかな配慮がなされ、同時に、学生たちへの懇切謙虚な指導がなされている。本書の帯のコメントも、本書を出版する意義について読者に対してある種の申し訳なさを含めて書かれてある文章も必読。
そういう意味で、読み物としても楽しいし、英文和訳の実戦テキストとしても愉しく使えます。