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56 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
柴田氏の、教師としての一面を垣間見る本です,
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レビュー対象商品: 翻訳教室 (単行本)
『英米小説演習』が授業のレポートなら、さしずめ本書は授業の「実況中継」。まず筆者らしい、授業風景のコマメな説明が4ページほどあり、300語〜400語程度の英文原典を、2・3文に分け、学生数人の訳文をていねいに添削していくのが授業の骨格で、その添削過程が授業の/本書の中味。そこから、翻訳の苦労というか、吟味のしかたが、あるときは主観的に、またあるときは経験法則に基づいて、じつに愛情ある細やかな配慮がなされ、同時に、学生たちへの懇切謙虚な指導がなされている。本書の帯のコメントも、本書を出版する意義について読者に対してある種の申し訳なさを含めて書かれてある文章も必読。 そういう意味で、読み物としても楽しいし、英文和訳の実戦テキストとしても愉しく使えます。
75 人中、67人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「辞書でもろもろの定義や例文を『読む』ことは言葉全体の『顔』を知ること」,
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レビュー対象商品: 翻訳教室 (単行本)
柴田元幸さんの学部における授業を起した本。ダイベック、ユアグロー、カーヴァー、ブローディガン、レベッカ・ブラウンなどの小説を学生たちに訳させ、それに修正を加えていくという過程が丁寧に再現されている。途中で、村上春樹さんの『かえるくん、東京を救う』の英訳を逆に日本語に訳したり、それを訳したジェイ・ルービンを呼んで、どうしてこういう風に訳したのかを語ってもらったり(「しかたがないっていう日本語の表現にぴったりあう英語の表現ってないんですよね」「英語は動詞がものすごく強い。日本語は副詞プラス動詞を使うと強さが出るけど」)、"村上モード"に入ったと思ったら次には村上春樹本人を呼んできて翻訳について語らせたり(「なるべく原作者と会った方がいい」「小説を書くときにいちばん役にたった言葉はフィッツジェラルドの『人と違うことを語りたかったら人と違う言葉を使え』というもので、文章を志す人はほかの人とは違う言葉を探さないといけない」)、素晴らしい趣向も凝らされている。 「英語と日本語は語順が逆なので、一文全体の雰囲気を匂わせる言葉を冒頭に持ってくる」「なるべく語順通りに訳したらいい」「ただしエマソンも言ってるように、一貫性なんてのはチャチな人間の言うことだ」「HeやSheは5回でてきたら3回ぐらい彼、彼女と訳すぐらいでちょうどいい」「Andはしかし、Butはそしてと訳した方が自然になる場合もある」など英語の翻訳技術だけではなく、「Whenでつながっている時には物事が同時に起こっている」「日本語は罵倒語のバラエティーが乏しい」など言葉の本質につながるような話も聞ける。
60 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
翻訳の精神と苦労,
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レビュー対象商品: 翻訳教室 (単行本)
「文章とは、単に意味を伝えるのみならず、それを書いた者の肉体生理をも伝えるものでなければならない」。本書を読んでいる間、常に頭から離れなかったのが福田恆存のこの言葉だった。もし福田が正しければ、翻訳者は二重の苦労を背負うことになる。すなわち、原作者の生理を正しく感じ取り、今度はそれを正しく訳文に反映させるという苦労である。本書を読めば、翻訳とは単なる言語変換作業ではなく、原作文の奥底を洞察し、変換しようとする言語にそれを組み込むプロセスに他ならないことがよく分かるだろう。著者と学生は本書の中で、こうした高い志をもって一つの単語の意味、文章中における位置、リズムなどについて侃侃諤諤している。読者もこの授業に参加することによって、言葉に対する感性が大いに刺激されるだろう。ただ、他者の語感は必ずしも自分のそれと一致しない。学生世代との語感の違いに時おり戸惑いを隠しきれない著者の姿が微笑ましくも興味深く、こうした部分も翻訳の難しい点だと気付かされる。また、著者は学生と共に考え、共に悩みながら授業を進めており、自身の訳文に対する学生の指摘を素直に認める懐の深さが実に清く快い。 さらに、村上春樹が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』のyouの訳し方について説明している部分(P160)も誠に奥深い。ここだけでも何度も読み返す価値があると思う。「翻訳とはネイティブに訊けばわかるというものではない」との発言は挑戦的ですらある。 ただ、残念ながら本書にも欠点がある。それは、こちらがいくら声を張り上げて質問しても、本の中の先生が振り向いてくれないことだ。これには大変なストレスを感じるので、いつの日か、言葉というものに執着を持つ一般人向け実地講座を開催していただきたい。
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