柴田元幸氏『翻訳教室』が実戦編とすれば、こちらは理論編。
理論とはいえ、そこには、筆者の英語の勉強の仕方の本来あるべき姿(それはもう
斉藤氏にとっての信念と化しているものであるが)が描かれている。
すなわち、辞書はこまめに引く、引いた回数が英語の力である、翻訳こそが英語
上達への近道だ、など。
柴田氏は理論を語らず、シバタイズムとでもいうべき軽快さ・疾さがあった。
しかし斉藤氏は、普遍的な理論をめざすための翻訳研究ではなく、英語学習の
本来のあり方を翻訳という視点から語ろうとする。それゆえ,The art of Translation
を「翻訳の技巧」と言わず、「翻訳の作法」と言う。あくまでもスタイルであり、
勉強の仕方である。
僕は本書を大学生はむろん、高校生にも読ませ、正しい英語勉強とはこういうものだ、
と示してやりたい。いまだに高校教師の中には訳読を軽視する者がいるらしいが、そういう
教師にこそ、読ませたい、いや読んでいただきたいと思う。