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添えられた副題から、ウェーバーの『職業としての政治』や『職業としての学問』を思い起こす人がどのくらいいるのだろう。多くの人は、無邪気かつ直截(ちょくせつ)に、よく見かける「~になるための本」のたぐいを想像し、本書を実用情報を扱った、単なるガイドブックとみなしてしまうような気がする。
ただし、この見方も当たっている部分がないわけではない。ウェーバーの本にも、政治が現実的な力学の所産だという大切な前提があるし、本書にしても第4章「翻訳の市場」以降では、翻訳家をめぐる現実環境の分析と、かなり詳細な職業情報とが紹介されているからである。
しかし、ウェーバーが政治はあくまで政治であり、倫理ではないからこそかえって政治家特有の実益を超えた倫理が必要なのだと主張したように、翻訳の第一線で活躍中の著者もまた、翻訳家の実務環境をたどったうえで、自身のなりわいに職業的な倫理のやすりをかけようとしたように見える。
では、その職業倫理とは何か。本書に倣って強引に要約すれば、それは、「訳文に対する“結果責任”をまっとうすること」なのではあるまいか。実例を交えた翻訳の考察、歴史上の翻訳者たちの足跡紹介、翻訳技術論…。本書を貫く記述のすべてが、この基本の延長線上にあると思えるのだ。
翻訳家を志す人、翻訳とその文化的背景に興味をもつ人、本書はそんな人にすすめたい、今どき貴重な真の参考書である。(今野哲男)
内容(「BOOK」データベースより)
翻訳のありかた、歴史上の翻訳者の生涯から、翻訳技術、翻訳市場、現代の翻訳教育産業や翻訳学習者の問題点まで、総合的に「職業としての翻訳」を論じ、翻訳文化論を展開する。真の翻訳者とは何か、翻訳とは何か、当代一流の翻訳者が論じる本格的翻訳論。
内容(「MARC」データベースより)
翻訳のありかた、歴史上の翻訳者の生涯から、翻訳技術、翻訳市場、現代の翻訳教育産業や翻訳学習者の問題点まで、総合的に「職業としての翻訳」を論じ、翻訳文化論を展開する。当代一流の翻訳者が論じる本格的翻訳論。
出版社 日外アソシエーツ 編集局・尾崎稔
当代きっての翻訳者が論じる本格的翻訳論 本書は、翻訳のありかたを実例をまじえつつ詳説し、歴史上の翻訳者(玄奘・フナイン・ティンダル・村田蔵六)の生涯から、翻訳技術論、翻訳市場の不均衡の問題、現代の翻訳教育産業や最近の翻訳学習者の問題点まで、総合的に「職業としての翻訳」を論じ、翻訳文化論を展開。真の翻訳者とはどうあるべきなのか、翻訳とは何か、を余すところなく論述しています。
真剣に翻訳者を志す学習者に、また翻訳とその文化的背景に興味を持つ人にとっても必読の一冊です。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山岡 洋一
1949年、神奈川県生まれ。経済・経営・金融分野を中心とする出版翻訳と産業翻訳にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1949年、神奈川県生まれ。経済・経営・金融分野を中心とする出版翻訳と産業翻訳にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)