以前は、作者の名前をとりあえず知っていて、どこかで何となく作品を読んだ事がある程度だったが、一連の作品の表紙とタイトルに魅かれて、これまでに出ている4冊を衝動買いした。
作品集のタイトルは明らかにブラッドベリの「火星年代記」を意識したものだと思われ、作者としても多少はSFであるとの認識を持っているようには感じるが、これらの作品集を一概にSF作品とするのは難しい。「サイエンスらしさ」を全く含んでいない作品が混じっているのも確かであり、作品によって好みが分かれると思う。
しかし、どの作品も登場人物が生き生きと描かれており、良質な人間ドラマであると感じる。
SFが好きな者として、どうしても「サイエンス風」の舞台設定や小道具に注目してしまうことが多いが、作品中の人物描写の重要性について考えさせてくれる逸品と感じた。
水惑星、といっても、海面上昇とか水浸しの地球を意識する必要はなく(作者もそのような事を意識したとは明言していないように思う)、地球そのものを指している(水惑星という表現は、地球の形容として使われることがある)と捉えれば、それほど無理なタイトルでは無いと感じる。
地球周辺が舞台になっていれば何でもアリ、というのはオーバーだが、そのくらいの自由な発想に基づいたものと信じ、今後の良作に期待したい。