維新から6〜7年目の日本、幕末に列強諸外国の
圧倒的な産業力を目の当たりにして、不平等な関係を結果として結んでしまった
幕府を倒し、富国強兵へと国家方針のパラダイムを変えるべく、
尊王攘夷のスローガンのもと、明治新政府は誕生したはずでした・・・。
現実の国力や彼我の技術力の乖離に新政府も次第に消沈してしまい、
具体策を打ち出せぬまま、‘征韓論’を引き金に各地で新政府への不平・不満が
士族を中心に起こり、各地で戦乱となり、本書の最大のテーマである
「西南の役」につながるという・・・・・。
まさに混乱の渦に新政府:太政官政府は飲み込まれていきます。
維新後、新政府のいわば‘国家の青写真’の不完全さが露呈していました。
それでも版籍奉還→廃藩置県→断髪・廃刀令を発令し殖産事業も
轟々と行っていきます。
かつての武士階級の最後の砦が‘帯刀’でした。
禄を失い名誉も剥奪された士族たち・・・・。時代の開化のはざまで
政府も士族もギリギリの時代でした。
その中で西郷は鹿児島で沈黙を続け、大久保の国家建造は着々と進行してゆきます。
この時期の西郷と大久保の目に見えない駆け引きは実にスリリングです。
難解な展開の本作、しかし読み応え十分です。