羽生三冠のこれまでの対局の中から18局を選び、その終盤を解説した本。将棋の終盤を解説した本はこれまでに多く出版されてきた。この本がこれまでの本と比較して、異なる点は、以下のような部分だと思う。
1:「普通の手」を大事にしている点:これまでに出版されてきた将棋の終盤本では「次の一手」や「妙手」の発見が主なものだったと思う。こうした妙手の発見も大切だが、その前後には、かならず金銀や歩の細かな動きがあり、そうした何気ない一手が本書では非常に大切にされて書かれていること
2:終盤の感覚が磨かれる点:この本には長い詰め手順を発見しなければいけないような部分はありません。「守りの急所を見抜く」とか「勝負手を通さない」など、終盤ならではの考え方について羽生さんならではの分かりやすい説明があります。こうした終盤の感覚的なものは、詰将棋や必死問題をとくだけでは身につかない部分で、本書のすぐれた部分ではないかと思う。
3:「優勢な局面」から解説:我われアマチュアが感じることに一つに、「優勢になっている将棋をいかに勝ちにつなげるか」という点があると思う。この本では、プロからみたら、大差がついている局面を選びながら、それをいかに最終的に「勝ち」につなげるか、解説してあります。大差になっている局面とはいえ、一手間違えるとすぐに形勢がひっくりかえるので、
内容的には決してやさしくはないと思います。
総括すると、7手詰めができれば、読める内容となっていますが、レベル的にはかなり難しいものも多く、アマチュア二段以上の棋力の方向けではないでしょうか。それでも、将棋の終盤を鍛えるにはたいへんよくできた本だと思います。