義経伝説がなぜ日本の中で根強く生き残ったかを解明しようとした作品です。また何度か不死鳥のようによみがえるこの伝説のその時代ごとの特殊な状況を解き明かした作品でもあります。一般論として、著者は、これを”判官びいきの構造”と捉え、そこに社会的なルサンチマンの感情を見出します。そしてそのルサンチマンが特殊な固有の時代状況の中で噴出する仕組みを丹念に解き明かそうとします。これはつまるところ現代の新聞やメディア(ワイドショー)の報道にも根強く残っているおなじみのお涙頂戴の構図というわけです。著者は、この思考の枠組みからの決別を提唱します。しかし、日本史なるものは、すべてこの構図の繰り返しなのかもしれません。似たような本としては、アイヴァン・モリスの”高貴なる敗北(nobility in failure)”がありましたが、併読すると参考になります。