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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
最初に結論ありきで書かれているような気がします,
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レビュー対象商品: 義経の登場―王権論の視座から (NHKブックス) (単行本)
文献史料にとらわれないように幅広く文学史料、絵画史料、考古史料その他の資料を視野にうちに収めようと努力し、過去の世界における多数者の声を聞こうと務める、頼朝中心史観脱却などという筆者の主張は大いににうなづけるものがある。しかしながら、文献以外の史料を取り入れる場合についても、文献史料が史料としての正確さを問われた上で論じられているのと同様にやはり史料批判が行なわれた上で取り入れられるべきである。 しかしながら筆者は手に取った史料を無批判に取り入れているように思える。 例えば「平治物語」でも諸本に細かい差異があるのに、その読み比べもせずにある本にだけかかれた記載を無批判で取り上げて筆者の論拠にしている部分がある(例p.117)。 また、系図が度々挙げらているがその系図によって〇〇と人脈が繋がっていると書いているが(*)、その人脈が繋がっているという主張がやや飛躍していると感ぜられ説得力がない。 また、希義生年が1150年と記載されているがこの1150年生まれの根拠となる史料が示されていない。 さらにいえば、常盤の身分を示す論に於いては、かなり後年の史料や自身の過去の論文を典拠にしている。 (*至る所に血縁婚姻その他関係がはりめぐされている宮廷社会でこのような遠縁関係がどこまで有効なのか疑問を感じる) このように見ていると、論点は筋が通っているように見えるが所々元となる「史料」が全く示されていない部分が多いのが目だって仕方がない。 史料や史料らしきものも時折登場するが「先に(著者が考え出した)結論ありき」でその結論に強引にもって行く為に「史料」や「史料らしきもの」を無理やり引っ張り出しているようにしか受け取れない。 発掘調査の結果や史料その他を丹念に読み込み、その読み込んで分析した結果が論文なり本になるのが本来の歴史の研究のあり方であろう。しかし、この本を読み限りにおいてはそのような読み込みが行なわれたうえで書かれた物なのかという疑念が生ずる。 最大に残念なのが 「頼朝中心史観脱却」を主張しておきながら筆者自身が「頼朝中心史観」の呪縛から脱却していないと読み取れることである。 例えば服部英雄氏が主張した後白河院と頼朝との関係の強さを論じた『鹿ケ谷事件と源頼朝』の論文を高く評価したり、 頼朝挙兵直後の勢力を高く評価して、当時頼朝の対抗者になる可能性のあった甲斐源氏を完全無視しているという点がここに挙げられる。 各地で蜂起した勢力が頼朝や義仲などの源氏勢力だけではないという見解(寺社勢力や北陸九州四国蜂起勢力)が学界で主流を占めていることを考えると、この書物の最後の方で述べられている著者の「1180年代内乱」感は坂東における頼朝の実力を旧来の「過大評価」から抜けきっていない感がある。 筆者自身が「頼朝中心史観」はもとより、「源平史観」「河内源氏為義流中心史観」から脱却する必要性を強く感じる。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歴史と物語の混同からの脱皮,
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レビュー対象商品: 義経の登場―王権論の視座から (NHKブックス) (単行本)
「平安王朝」の著者による新しい中世史論。タイトルに義経が出ているのでNHKの大河ドラマ絡みかと思ったら大間違い。真面目な論考です。頼朝中心史観と「義経記」に代表される物語史観からの脱皮を目指しています。「忠臣蔵」と「赤穂事件」をきちんと区別して論じるのと同じですね。系図を丹念に追っていくところは広瀬隆にも似ています。まあとにかく面白いから読んでください。
8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
腰越状の新解釈に注目を!!,
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レビュー対象商品: 義経の登場―王権論の視座から (NHKブックス) (単行本)
これまで歴史学は、あんまり真面目に義経の「腰越状」に取り組んではきませんでした。その真偽についても疑問視する研究者も少なからずありました。ある種のタブーのようなものがあったと思います。例えばこれまでの「腰越状の解釈。 義経の生涯を冷静に分析すれば、各地方の氏素性の定かでない人々に支えられてきたのです。そこで、著者は、このテキストを「武士が、自身のことを『土民百姓等にこき使われた』と自称することは常識的に考えてもありえない」と明確に語り、新解釈を提示します。 さあ。どんな解釈でしょうか。それはご自分で確かめてください。無視され続けてきた腰越状にも、学問的なメスが入ってきたということです。この本は、戦後の「頼朝中心史観」(著書の造語?!)を乗り越えて義経のイメージを一変させる知的冒険心に富んだ本。目から鱗が落ちる本。あなたの中で義経のイメージがきっと別人のように変わます。 追記:最後に、もうひとつ、後白河法皇の実子(娘)と云われる「平泉姫宮」について、言及していることに注目したい。これまで、奥州の平泉が頼朝に征服された時、この女性が平泉ので囚われたことは無視されてきました。今後の研究によっては、平泉の都市論にも大きな認識の変更を迫るかもしれないテーマです…。
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