主人公亜矢は高校一年だがとてもよく他者を客観的に観察して、見事にとらえている。それが一面大人びているように見える。が、実は小学校6年生の時のいじめと親の離婚が「原因」だ。人は傷つくたびに自分や他者を見つめる目が磨かれていく。だから亜矢は他人に対して年甲斐もない「理解」をしている(悲しいことに自分の悪いところもよく見える)。友人や父親、そして母親。客観的な目と多感な16歳のこころ。平凡な日常を描くばかりだが、グッとくるフレーズがうまくちりばめられている。夕焼けに染まる海をビンに詰めてもって帰ったら赤色じゃなかった、なんて話は、一期一会の例えのようでもあるし、人間関係における他者とこころの関わりのようでもある。この作者が何歳だか知らないが、もしかしたら、夕焼けを持って帰ることができたのかもしれない。すばらしい感性だと思う。あと恋愛における彼との王道的なすれ違いは、とてもグー。ひとつ、欲を言えば、少々短すぎで物足らない。