1枚目の20曲のほとんどは皆が幼い頃に口ずさんだことのある唱歌や童謡で、後半の一部に戦前のヒット曲が収められています。「からたちの花」のような日本歌曲をひばり節で聴くとそのこぶしの廻り方がファン以外にとっては違和感があるでしょうが、どんな歌でも歌いこなせる実力の片鱗がみてとれます。これがひばりですし、味わいなのです。
なお、本サイトでは1枚目は38曲収録してあるように記載してありますが、実際は20曲までしか吹き込まれていません。CD1枚に38曲は物理的に大変ですから。
2枚目はもう少しジャンルを広げていますが、叙情歌と呼ばれるジャンルの曲に収まっています。
「鈴懸の径」での伴奏のヴィブラフォンとクラリネットが当時の流行のオリジナル・スタイルを髣髴としました。
「お使いは自転車に乗って」では、アコースティック・ギター伴奏とひばりの朗々とした歌唱がよく合っていました。
「雪の降る町を」は絶品です。低音の魅力が伝わってきますし、情景が浮かんでくるようでした。オリジナル曲とは少しコードが違うのはアレンジャーのせいですが、作曲者の中田喜直の非凡さが改めて感じられました。
「月がとっても青いから」などは、菅原都々子の歌唱を凌駕しているように感じました。
一部はモノラル録音ですので、万全な収録とは言えませんが、幼い頃から「天才少女歌手」と呼ばれ、後に「昭和の歌姫」という称号そのままのひばりの多様性を聴くことが出来ます。
この歌の収録もそうですが、大衆の圧倒的な支持がなければ半世紀に渡る大歌手の地位は確保できないと思います。戦後の混乱期を経て、日本人がどん底の生活から這いあがる心の拠り所にひばりの歌があったことは間違いないでしょう。女性初の国民栄誉賞が彼女の没後に与えられたことは、その功績を称え、認めたからですから。